図夢歌舞伎「忠臣蔵」第五回

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7月25日11時から生配信された図夢歌舞伎「忠臣蔵」の第五回を、生配信で観た。

第五回は「九・十一段目」で、大星由良助・加古川本蔵に松本幸四郎さん、戸無瀬に市川猿之助さん、大星力弥に市川染五郎さん、口上人形に市川猿弥さんの配役。

千穐楽ということで、冒頭、口上人形の解説とともに、これまでの4回を集約した凝った映像が流れる。その後、「九段目」のそれまでのあらすじを紹介し、口上人形の周りにも雪が降ってきて、定式幕が開く。

まずは、竹本連中の映像から。葵太夫さんの Twitter によると、肩衣は雪の場面に用いる「大小霞」とのこと。葵太夫さんのツイートは勉強になる。

ほどなく、雪道を歩く戸無瀬の足元のアップが映し出される。下駄のつま先、歯にも綿の雪。生の舞台では目に行かないところ。画面は猿之助さん一人だが、目線や手の動きで傍らに小浪かいるかのように思わせる演技が凄い。

戸無瀬が屋敷に上がり、加古川本蔵と祝言についてのやり取りが繰り広げられる。後に「本日現場には、私とあーちゃんしかいません」と口上人形が暴露していたから、収録映像の戸無瀬と生の本蔵を合わせていたようだ。(伊佐山部長は忙しい!?)小浪のパートは葵太夫さんの語り。戸無瀬、竹本葵太夫さん、太棹の豊澤淳一郎さんの分割画面は図夢歌舞伎ならではの演出。三方を掲げて登場する力弥も収録映像だったのか。

戸無瀬の見せ場の後は、幸四郎さんによる本蔵と由良助の早替わりを含めた熱演を見せる。竹を使って障子を開ける仕掛けの場面は、力弥と大道具さんの見せ場。

「九段目」が終わって、再び口上人形が登場すると、人形の周りにも雪に見立てた綿が敷かれている。演出が細かい。

「十一段目」は立ち廻りあり。(文楽では立ち廻りの場面はない)。1画面1人ということで、分割画面による立ち廻りは面白い試みだと思う。鉄輪の女みたいな武士は何だったんだ?

遂に由良助が高師直を打ち取り、塩谷判官の位牌に師直の首を手向け、勝どきを挙げる。最後は万感の思い溢れる由良助のアップで終わった。

終演後に、幸四郎さんと戸部さんとのトーク。幸四郎さんは途中涙ぐんでいた。制限がある中、回数を重ねるごとにパワーアップし、一つの作品を完結させたのは凄いことだ。今後、配信を念頭に置いた歌舞伎の作品が次々に作り出されるのだろう。

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