図夢歌舞伎「忠臣蔵」第三回

※当サイトはアフィリエイト広告を掲載しています

7月11日11時から生配信された図夢歌舞伎「忠臣蔵」の第三回を、生配信で観た。

第三回は「五・六段目」で、斧定九郎に松本幸四郎さん、早野勘平に市川猿之助さん、女房おかるに中村壱太郎さん、母おかやに上村吉弥さん、百姓与市兵衛に松本高麗五郎さん、口上人形に市川猿弥さんの配役。

生配信を観るために、第二回の時と同様に定刻11時より早い目にサイトにログインすると、まだ配信が始まっていない。11時を過ぎても始まらない。ほどなく、システム障害のため配信が遅れる、との表示が出た。10分ほど経ってから画面に定式幕の映像が映し出され、鳴物が鳴り響く。松竹の戸部さんによるお詫びと視聴についての説明があり、再び鳴物が入ると、猿之助さんと幸四郎さんの化粧をしている映像が映し出される。貴重な映像だ。

今回は定式幕が開くのではなく、化粧をしている幸四郎さんの映像がフェードアウトした後、暗転、口上人形が登場という幕開き。毎回、趣向を変えている。

前回同様に、口上人形が第一回・第二回のダイジェスト映像とともにあらすじを話す。続いて、早野勘平と斧定九郎について簡単に説明すると、画面が切り替わり、太棹三味線そして竹本葵太夫さんのアップに。(図夢歌舞伎が時間通りに配信されないのを心配してツイートする葵太夫さん。竹本は収録映像)。

五段目は、定九郎が与市兵衛から金を奪う場面から。稲むらの前で与市兵衛が休み、稲むらの陰に定九郎が潜む。正面からは与市兵衛の姿しか見えないところを、カメラは横から撮影し、稲むらを間にした与市兵衛と定九郎の二人の動きを見せる。物凄く、斬新だった。

五段目唯一の癒しの存在、猪は何と幸四郎さん。チャットコーナーで「猪は誰ですか」という質問に、口上人形が「あーちゃん」と答えていた。(エンドクレジットにも記載あり)。

猿之助さん演じる早野勘平は上方の型で演じているそうだ。猪を撃つ鉄砲は一発のみ。(江戸の型は、二つ玉の言葉通り二発撃つそうだ)。揚幕からちゃりんと音がして勘平が登場する。ここからは、猿之助さんの独壇場。

六段目では、中村壱太郎さん、上村吉弥さんと上方の役者さんも活躍する。役者さん同士が近接しないように構成されていた。また、アップの映像が多く、表情の変化が分かりやすいことも加わって、違和感なく芝居を楽しめた。

SPICE に「図夢歌舞伎」についての戸部さんのインタビュー記事が掲載されている。https://spice.eplus.jp/articles/272226

”第二回から、映像作品としての演出に振り切った”とのことだが、確かに、第一回と第二回では格段にクオリティが違う。第三回は出演者が増えたこともあると思うが、更にパワーアップしている。今後がますます楽しみになってきた。

2020.07.13 追記

今日の歌舞伎家話第六回は、市川猿之助さんと市川團子さんの対談。そこで、図夢歌舞伎のズームを使った演出は團子さんのアイディアだったとの発言があった。Zoom でズーム。また、市川猿之助さんや市川中車さんが出演している、ドラマ「半沢直樹」の演出の福澤さんがアップを多用していて、やり方を覚えていたとのこと。歌舞伎ではあそこまで顔を動かさない。なるほど、歌舞伎にテレビ(映像)の手法を取り入れたということで、違和感なく楽しめたのか。

猿之助さんは、舞台は無限の空間だけど、映像は画角の範囲内と言っていた。舞台の配信が当たり前の時代になると、映像の画角の感覚がないといけない、と猿之助さんは考えている。そして、團子さんは映像に興味があるとのこと。映像の世界から歌舞伎の世界に入った市川中車さん、映像を本格的に学びたいと考えている團子さん。猿之助さんも交え、数年後には澤瀉屋が革新的な歌舞伎を創りだしているのかもしれない。

コメント

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました