歌舞伎オンデマンドで「今昔饗宴千本桜(はなくらべせんぼんざくら)」を観た。歌舞伎美人での上演時間は 12:20-1:45 1時間25分で、配信は1時間36分だった。
配役は、佐藤四郎兵衛忠信に中村獅童さん、美玖姫に初音ミクさん、蝶の精に中村種之助さん、陽櫻丸(はるおうまる)/狐の精に小川陽喜さん、夏櫻丸(なつおうまる)に小川夏幹さん、初音の前に中村蝶紫さん、青龍の精に澤村國矢さん、頭取に市川青虎さん、神女舞鶴姫に中村七之助さん、朱雀の尊に中村勘九郎さん。
とうとう歌舞伎座の舞台に初音ミクさんが登場。10月は寺島しのぶさんが舞台に立ったし、2023年は歌舞伎座の(新作や超歌舞伎とはいえ)歌舞伎の演目に女性たちが出演した画期的な年となった。
冒頭に約5分間過去の超歌舞伎の映像が流れ、桜の木を描いた幕が開くと、舞台上には中村獅童さんが平伏している。あいさつの後、ペンライトの使い方指南。歌舞伎座の客席にペンライトが輝いている。両手に複数のペンライトを持つ熱心なファンもいる。そして、NTT の開発した中村獅童ツインが登場して、日本語と英語であいさつ。進化しているのね。その後、過去の南座での公演同様に初音ミクさんがせり上がってあいさつし、何と見得まで披露した。
今回は出演する役者さんが多いので発端の話が長くなった。主な役者さんたちの見せ場を作るとなると、どうしても上演時間が長くなる。「今昔饗宴千本桜」は1時間以内にギュッと凝縮されていたのが良かったのだが、諸事情があるのだろう。
出演者が多いと、ペンライトの色を変えるのも大変だ。獅童一家は赤(狐忠信の衣装の色)、蝶紫さんは紫でいいのかな(名前に紫)、ミクさんは濃い緑(ミクさんの髪の毛の色・ネギの色)、國矢さんは濃い青(青龍から)、勘九郎さんは薄い青か白の指定、七之助さんは黄色(中村屋は卵色の裃)、種之助さんは薄い緑、青虎さんは薄い青(名前に青、澤瀉屋は浅葱色の裃)。
発端の幕切れ、狐の精役の小川陽喜さんが狐六方で引っ込んだ。(もともとの獅童さんの狐六方の引っ込みに合わせての脚本なのか)。きちんと狐手をして、一人で堂々と花道を去っていった。大したものだ。また、初お目見得の小川夏幹さんは、兄の小川陽喜さんに負けず劣らずの舞台度胸振りを見せていた。二人とも将来が楽しみだ。
歌舞伎座でも獅童さんとミクさんの宙乗りがあったものの、南座での盛り上がりを知っているので、映像からは今一つ盛り上がりに欠けているように見えた。獅童さんの終盤の煽り、そして、カーテンコールでの出演者たちの弾けぶりや写真撮影許可を考慮すると、超歌舞伎は単独公演の方が良い。
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