7月18日11時から生配信された図夢歌舞伎「忠臣蔵」の第四回を、生配信で観た。
第四回は「七段目」で、寺岡平右衛門に松本幸四郎さん、遊女おかるに中村雀右衛門さん、口上人形に市川猿弥さん、大星由良助に初世松本白鸚さん(映像出演)の配役。
歌舞伎座の定式幕から、口上人形の映像になり、前回「五・六段目」のダイジェスト映像が流れる。再び、歌舞伎座の定式幕の映像に戻り、幕が開くと、舞台上には七段目の大道具。映像が切り替わると、口上人形が一力茶屋の座敷に座っていて、芝居に参加している。そして、平岡平右衛門と「どうじゃいな」と見立て遊びに。
見立ては、配信に先立ってツイッターで募集していた。箸を二つ使ってハッシュタグ、手ぬぐいと扇子を使い藤井聡太棋聖(段位も七段)、タコとわかめでアマビエと、最近の話題を取り入れていた。最後に、口上人形が箸で梅干をつまみ、塩谷家の家老斧九太夫に見立てて「七段目」に入っていく。
平右衛門が手水鉢の水を使おうとすると、水面に大星由良助の姿が映る。過去の映像を上手く使っている。
おかるが二階の座敷から一階の由良助の手紙を盗み読みするところは、東太夫の語りとおかるの芝居のみ。おかるが二階から梯子で降りる場面はない。
おかるを探して二階の座敷にやってきた平右衛門の映像を右上に、庭のおかるの映像を左下に配置して、兄妹のやりとり。演出にも工夫が凝らされている。妹を殺そうと決意した平右衛門は、二階から庭へ飛び下りる。これは、図夢歌舞伎独自のもの。平右衛門が庭に降り立つと、おかるは木戸の外へ。しばしやり取りがあり、おかるが木戸の中へ入るが、平右衛門の映像と、おかるの映像を並べて芝居を見せている。
最後に、39年前の由良助が登場。おかる、由良助、平右衛門と3人の映像を並べて、共演しているように見せる。昔の映像は大道具の形や色調が違うところもあるけれど、ぱっと見には同じ舞台に立っているように見えた。現在のテクノロジーを使用すれば、映像による過去の役者の芝居と生の芝居の融合が可能になった。これは凄いことだ。
将来的には、図夢歌舞伎に限らず、映像を用いて過去と現在の共演というのが普通に行われるのかもしれない。
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