「歌舞伎特選DVDコレクション」23号は「国性爺合戦(こくせんやかっせん)」で、平成24年(2010年)10月に新橋演舞場で行われた公演が収録されている。 本編94分。
和藤内(わとうない)に尾上松緑さん、錦祥女に中村芝雀(現・雀右衛門)さん、老一官に中村歌六さん、渚に片岡秀太郎さん、甘輝(かんき)に中村梅玉さん他の配役。
国性爺合戦(国姓爺合戦)は、中国人の父と日本人の母の間に生まれた鄭成功(ていせいこう)を題材にした、近松門左衛門作の人形浄瑠璃で、正徳5年(1715年)11月に初演され、翌年に歌舞伎に移されている。全五段の物語だが、このDVDは三段目の獅子ヶ城楼門の場から、獅子ヶ城内甘輝館の場、獅子ヶ城内紅流しの場、獅子ヶ城内元の甘輝館の場を収録している。
歌舞伎特選DVDコレクション第15号「博奕十王」に登場した、「虎拳」のもととなった二段目の千里ヶ竹の虎狩りがないのは残念だが、上演記録を調べると、歌舞伎ではめったに上演されないようなので、次の機会(いつになる?)に期待したい。
物語が少々ややこしいため、「国性爺合戦」を初めてみる場合は、あらかじめマガジンに目を通してあらすじを把握しておく方が良いと思う。
歌舞伎には珍しい異国を舞台にしたものなので、異国情緒あふれる大道具、衣装そして音楽が、目と耳を楽しませる。義太夫の語りに字幕がついていないため、慣れていないと聞き取りにくいかもしれないけれど、要所要所で音声ガイドの解説が入るので、話にはついて行けると思う。
音声ガイドで解説しているが、尾上松緑さん演じる和藤内は前半と後半で顔の隈取が異なり、また、2回花道を六方を踏んで引っ込む際、1回目と2回目で型が異なっている。主役の和藤内の荒事に目が行くものの、中村芝雀さん演じる錦祥女、そして、片岡秀太郎さん演じる和藤内母・渚の女方二人の演技も素晴らしい。
いろいろと見どころの多い演目だった。
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