歌舞伎オンデマンド 義経千本桜 渡海屋・大物浦

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歌舞伎オンデマンドで「義経千本桜 渡海屋・大物浦」を観た。歌舞伎美人での上演時間は3:10-5:05 1時間55分で、配信の方は1時間53分だった。

配役は、渡海屋銀平実は新中納言知盛に片岡仁左衛門さん、源義経に中村時蔵さん、女房お柳実は内侍の局に片岡孝太郎さん、入江丹蔵に中村隼人さん、銀平娘お安実は安徳帝に小川大晴(ひろはる)君、相模五郎に中村又五郎さん、武蔵坊弁慶に市川左團次さん。

この公演は「片岡仁左衛門一世一代にて相勤め申し候」と一文がついていて、仁左衛門さん最後の碇知盛となった。

冒頭、弁慶が娘お安を跨ぐ場面はカット。

前半の渡海屋、花道からの銀平の出は、仁左衛門さんは颯爽として貫禄のある姿だった。中盤の知盛となって白装束での姿は、気品にあふれながらも、義経に対する恨みが全身からほとばしるものだった。

渡海屋で店を切り盛りするお柳から、お安の手習帳を手にしたところで安徳帝に仕える内侍の局に変わる孝太郎さんの演技が見事だった。渡海屋・大物浦は知盛が主人公だけど、お柳実は内侍の局の見せ場も多い。

後半の大物浦も、内侍の局の見せ場が続く。平家劣勢の報告を受け、安徳帝に入水の覚悟を促す場面は、帝を思いやりながらも口惜しさや悲しさが現れていた。

大物浦の後半、瀕死の知盛が帝を探して花道から出てくる姿は悲壮感一杯で壮絶なものだった。内侍の局が自害したことで心が折れ、帝を義経に託して安堵した知盛だが、その台詞、その表情がさすが仁左衛門さんというものだった。「一世一代」とうたっていることもあるのか、映像からもその熱量が伝わってくるような演技だった。まだまだ仁左衛門さんの知盛を観たいとは思うものの、やはり、ラストの背中から落ちるアクションの負担を考えると、「一世一代」は仕方ない。

知盛が入水し、安徳帝を抱きかかえた義経が花道を引っ込むが、これは祖父の時蔵さんと孫の小川大晴君による、記念となる場面でもあった。

最後に、左團次さんの弁慶によるほら貝の音。ベテランの左團次さんはきっちり吹き鳴らし、花道の引っ込みを含めて舞台を締めていた。

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