「歌舞伎特選DVDコレクション」20号は「あらしのよるに」で、平成27年(2015年)9月に南座で行われた公演の二幕目・三幕目が収録されている。 本編56分。
がぶに中村獅童さん、めいに尾上松也さん、みい姫に中村梅枝さん、たぷに中村萬太郎さん、はくに市村竹松さん、山羊のおじじに市村橘太郎さん、ぎろに市川月乃助(現・新派の喜多村緑郎さん)、がいに河原崎権十郎さん、狼のおばばに中村萬次郎さん他の配役。
比較的ゆっくりとした展開だった発端・序幕から、二幕目・三幕目は話が大きく動く。
冒頭、ぎろが片耳を元に戻す方法を狼のおばばに尋ねる場面で、おばばが「鏡よ鏡よ鏡さん」と呪文を唱える場面で笑いが起こっていたけれど、子供向けテレビ番組”ロンパールーム”を知っている世代向けのサービスか。
そして、魔法の鏡に映し出された、みい姫、たぷ、めいが同じ年月日、時刻に生まれたという設定がいかにも歌舞伎らしい。(歌舞伎では、摂州合邦辻の玉手のように、同じ干支の年月日に時刻だが)。
同種の仲間と異種の友情との間で葛藤するがぶとめいが、岩山で並んで満月を眺める姿は非常に美しく印象的な場面。また、がぶとめいが雪崩に巻き込まれるところを、白い大きな布で表現していたのも印象的だった。
雪崩から生き残っためいとがぶ。実際の舞台を観たときは、記憶を無くしたがぶに青いライトが当たり、記憶を取り戻すと通常のライトに変わったのがはっきりわかったのだが、映像だとライトの色の違いが分かりにくかった。再生機器やテレビの性能にもよるのだろう。
本編で終了かと思いきや、カーテンコールまできっちり収録していたのが良かった。
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