歌舞伎オンデマンドで「近江源氏先陣館 盛綱陣屋(おうみげんじせんじんやかた もりつなじんや)」を観た。歌舞伎美人での上演時間は 2:10-4:05 1時間55分で、配信は1時間57分だった。
配役は、佐々木盛綱に松本幸四郎さん、高綱妻篝火に中村雀右衛門さん、和田兵衛秀盛に中村錦之助さん、盛綱妻早瀬に中村米吉さん、信楽太郎に中村隼人さん(代役:中村錦之助さん)、高綱一子小四郎に尾上丑之助さん、盛綱一子小三郎に坂東亀三郎さん、北条の臣に中村吉之丞さん、北条の臣に澤村宗之助さん、竹下孫八に大谷廣太郎さん、古郡新左衛門に松本錦吾さん、伊吹藤太に中村歌昇さん(代役:中村種之助さん)、北条時政に中村又五郎さん、盛綱母微妙に中村歌六さん。
中村歌昇さん、中村隼人さんを含む関係者複数人が新型コロナウイルス感染陽性となったため、この公演は9月2日から6日まで中止、中村歌昇さんは14日まで、中村隼人さんは15日まで休演となった。収録日の関係から、信楽太郎を父親の中村錦之助さんが、伊吹藤太を弟の中村種之助さんが代役を勤めたものが配信された。
先日の「紀尾井町家話」に出演した歌六さんが言っていたけれど、主要な配役は三代目歌六の血筋の役者が多く出演していた。微妙の歌六さんは三代目歌六のひ孫(3歌六ー3時蔵ー2歌昇ー当代歌六)、早瀬の米吉さんは玄孫、秀盛の錦之助さんはひ孫(3歌六ー3時蔵ー4時蔵ー当代錦之助)、信楽太郎の隼人さんは玄孫、時政の又五郎さんはひ孫 (3歌六ー3時蔵ー2歌昇ー当代又五郎)、伊吹藤太の歌昇さんと種之助さんは玄孫。
盛綱の幸四郎さんも血筋に当たる(3歌六ー1吉右衛門ー娘・正子(1白鸚の妻)ー2白鸚ー当代幸四郎)。小四郎の丑之助さんも血筋(3歌六ー1吉右衛門ー娘・正子(1白鸚の妻)ー2吉右衛門ー娘・瓔子ー当代丑之助)。
そして、篝火の雀右衛門さんが丑之助さんと親戚(7幸四郎ー娘・晃子(4雀右衛門の妻)ー 当代雀右衛門。晃子さんは1白鸚の妹)。さらに、竹下孫八の廣太郎さんも丑之助さんの親戚になる(4雀右衛門ー8大谷友右衛門(4雀右衛門さんの兄)ー当代廣太郎)。
「盛綱陣屋」は兄弟が敵対することにより、親子孫、伯父甥の悲劇の物語だけど、舞台上も主要な役は、家系図が繋がる役者さんたちが演じていた。
幸四郎さんの盛綱は武将としての大きさ、思慮深さが感じられた。演じる回数が増えれば、さらに貫禄が増してくるのだろう。
新型コロナウイルス感染の影響により、丑之助さんと亀三郎さんは、5月に続いて初日から舞台に出演できなくなり、子役にとって辛い時期だったと思うけれど、小四郎と小三郎という大役を立派に勤めていた。
錦之助さんは、冒頭に赤面の和田兵衛秀盛、中盤で白塗りの信楽太郎、最後に再び赤面の秀盛と全く異なる二役での出演で、化粧や衣装替えで楽屋は忙しかったのだろうなと思いながら観ていた。
女方の大役と言われる微妙を歌六さんが初役で勤めていたが、貫禄と慈愛あるものだった。片岡秀太郎さんが亡くなり、微妙を演じられる役者さんが限られるので、今後も歌六さんが勤めることがあるのだろう。
雀右衛門さんの篝火は安定感あるものだった。これまで若い娘や姫役が多かった米吉さんだけど、武家の女房をしっかり演じていた。今後、どう変わっていくのか楽しみ。
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