歌舞伎オンデマンドで「梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)」(通称:「石切梶原」)を観た。歌舞伎美人での上演時間は4:20-5:29 1時間9分だったが、配信の方は1時間11分だった。
配役は、梶原平三景時に片岡仁左衛門さん、六郎太夫娘梢に片岡孝太郎さん、俣野五郎景久に市川男女蔵さん、奴菊平に中村隼人さん、大名山口十郎に市川男寅さん、大名川島八平に中村玉太郎さん、大名岡崎将監に中村歌之助さん、囚人剣菱呑助に片岡松之助さん、大庭三郎景親に坂東彌十郎さん、青貝師六郎太夫に中村歌六さん。
この演目は過去に何度か観ているので、話の筋は知ったうえで観ている。もっとも、「石切梶原」はストーリーを楽しむというよりは、出演する役者さん、特に主役の梶原平三景時役の役者さんの芝居や姿を楽しむ演目。今回、仁左衛門さんは2004年12月南座以来、16年振りの梶原平三景時とのことで、とりわけ貴重な配信になった。
前半の見どころは、梶原が六郎太夫親子が売りに来た刀を鑑定する「目利き」。竹本に乗っての、仁左衛門さんの動きや姿が美しかった。
中盤、刀の試し切りの場面「二つ胴」での、剣菱呑助の酒尽くしの台詞は楽しい。黄桜や菊正宗、大関といった有名な酒の名前を織り込み、観客の笑いを誘っている。この息抜きの時間があるからこそ、続く試し切りでの緊張感が高まる。
一番の見どころは、通称の「石切梶原」にある通り、梶原が石の手水鉢を刀で真っ二つに切る場面なのは言うまでもない。ここは、景時いが手水鉢の後ろに立って正面を向いて切る型(吉右衛門型)と、梶原が客席に背を向けて切る型(羽左衛門型)があるが、仁左衛門さんは正面を向いて手水鉢を切って、前へ飛び出していた。
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