市川海老蔵特別公演

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10月26日18時から群馬県は富岡製糸場の西置繭所前広場で行われた、市川海老蔵特別公演を e+ の Streaming+ で観た。公演があることを知ったのが26日の昼で、夕方からのライブ配信には間に合わなかったものの、11月1日まで配信されるということで視聴券(4500円+手数料220円)を購入した。先日の小淵沢での百傾繚乱といい、現地に行くまでが大変な場所で行われる公演を気軽に鑑賞できるのはありがたい。

演目は寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)(20分強)、御目見得口上(約10分)、男伊達花廓(おとこだてはなのよしわら)(20分強)で、市川海老蔵さん、市川九團次さん、大谷廣松さんほかの出演。9月から全国で開催されている「古典への誘い」と同じ。http://www.zen-a.co.jp/koten2020/

世界遺産「富岡製糸場」にある国宝「西置繭所」前広場に設けられた舞台の上には、成田屋の三枡の紋が掲げられている。まず、長唄連中が舞台上手の山台に座る。屋外での上演だからか、覆面は着用していなかった。下手から翁の面の入った箱を捧げ持った千歳の廣松さん、翁の九團次さんが登場した。紋付袴姿の素踊り。通常なら松羽目の背景なのだが、今回は屋外に設置された舞台のため、舞台奥は黒い幕。こういった背景の三番叟はめったに観れるものではない。

廣松さん、九團次さんの舞が終わって舞台下手に引っ込むと、代わりに海老蔵さんが登場した。まずは足拍子が印象的な「揉の段」、続いて、鈴を手にした「鈴の段」。海老蔵さん達による、国土安寧・五穀豊穣の舞だ。

続いて、御目見口上。赤い毛氈の上に、下手側から廣松さん、海老蔵さん、九團次さんが並ぶ。さて、口上というところで、市川新蔵さんの声がスピーカーから流れるハプニング。公演毎に会場が異なる巡業は、皆さん大変だ。三人のご挨拶が終わり、通常の公演なら幕が閉まるところ、幕がないので海老蔵さんの「失礼します」の一言で下手側袖へ。これも、めったにない光景だ。

20分の休憩を挟み、最後は男伊達花廓。「曽我綉俠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ)」を元に、海老蔵さんのために新たに作られた舞踊とのこと。本来なら、吉原の廓の背景なのだろうが、やはり黒幕。

この演目は拵えをしての上演だった。禿の廣松さんが登場したときは、叔父さんの中村雀右衛門さんに似ていたので驚いた。新貝荒蔵の九團次さんらを懲らしめた五郎蔵の海老蔵さんが形を決めると、「成田屋」「十一代目」「待ってました」の大向こう。「待ってました」に「待っていたとはありがてぇ」と海老蔵さんが返す。後半は、若い者たちが登場して立ち廻りに。傘を使って三枡の紋を描いたり、トンボを返ったりと、見ごたえ十分なものだった。

最後に、カーテンコールが2回あって終演となった。

特別な場所での、貴重な公演を堪能した。

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