「歌舞伎特選DVDコレクション」76号は「奴道成寺」で、平成20年(2008年)10月に歌舞伎座で行われた公演が収録されている。本編47分。音声ガイドが収録されている。
白拍子花子実は狂言師左近に尾上松緑さん、所化文珠坊に尾上松也さん、所化不動坊に尾上右近さんの配役。マガジンの表紙に記載されていないけれど、坂東橘太郎さんが所化西念坊で出演している。
「奴道成寺」は、そのタイトル通り、「京鹿子娘道成寺」の娘を奴に置き換えたもの。しかし、最初の登場は烏帽子を着けた白拍子姿。今は貫禄ある松緑さんだが、収録されている映像は、能の女面を模した化粧も相まって若くてかわいらしい。
舞っているうちに烏帽子を落とし、男であることが分かってしまう。正体を明かした狂言師左近は、一転、軽妙に舞う。この演目の最大の見どころは、おかめ・お大尽・太鼓持ちの3種類の面を使っての早替わり。松緑さんの軽快な踊りが楽しめる。最後は「京鹿子娘道成寺」同様に、狂言師左近が鐘に登って形を作って終わる。
序盤の白拍子の台詞や、長唄と常磐津の歌詞は全てマガジンに掲載されている。また、音声ガイドが入っているので、両方を利用すると一層分かりやすい。(幕切れ、花四天が蛇体の形をつくっているところを、音声ガイドが”所化”と言っていたのが惜しかった)。
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