歌舞伎オンデマンドで「流白浪燦星」を見逃し配信で観た。歌舞伎美人での上演時間 11:30-12:50 / 4:30-5:50 1時間20分、 1:20-2:05 / 6:20-7:05 45分、2:20-2:55 / 7:20-7:55 35分 合計2時間40分だった。
配役は、ルパン三世に片岡愛之助さん、石川五エ門に尾上松也さん、次元大介に市川笑三郎さん、峰不二子に市川笑也さん、銭形警部に市川中車さん。
今回上演された「流白浪燦星」はアニメ「ルパン三世」を歌舞伎化したもので、時代設定を安土桃山時代にして、五右衛門がルパン・次元と仲間になる物語が展開される。(が、花魁道中など、安土桃山時代にはないものも登場するのが歌舞伎らしいところ)。
序盤からアニメのテーマソングや、「とっつぁん」、「ルパン逮捕だ!」、「ふーじこちゃん」といったおなじみの台詞、タイプライターによるタイトル表記などで一気にルパン三世ワールドに引き込まれる。葵の御紋の印籠や「あゝ人生に涙あり」が使えない「水戸黄門」と対照的。
愛之助さんや中車さんがアニメのルパンや銭形に似せた台詞回しや化粧をし、笑也さんがアニメの不二子のようなグラマラスな体型に見せる着付けをしているので(60代半ばとは思えない美しさ)、一層、物語に入り込みやすい。なお、銭形は警部(けいぶ)ではなく刑部(ぎょうぶ)で時代に合わせている。(永楽通宝の衣装が良い)。松也さんの五右衛門は納得の配役だが、普段は女方の笑三郎さんが次元というのはサプライズかもしれない。
早替わりやだんまり、六方の引っ込み、梯子や縄を使った立ち廻りに本水での立ち廻り、大薩摩と歌舞伎らしい演出の数々、「弁天娘女男白浪」、「楼門五三桐」、「籠釣瓶花街酔醒」などの有名演目のパロディや、「VIVANT」、「鎌倉殿の13人」、「刀剣乱舞」など出演者が出演した作品に関する台詞も散りばめられていて楽しい。なお、大詰め幕切れは「弁天娘女男白浪」の「稲瀬川勢揃いの場」そのもの。5人のキャラクターが、それなりに上手く当てはまっているのが素晴らしい。最後に客席に紙の小判を降らせて終わる、これも歌舞伎らしい派手な演出だ。
御年93歳の市川寿猿さんも元気な姿を見せていて何より(台詞はカンペ読みみたいだったけど)。また、犬の小春(「大當伏見富くじ」)や狼のばりぃ(「あらしのよるに」)のように人ではないものを演じるのが上手い片岡千壽さんが、偽次元と通人萬望軒(まもうけん)を演じている(どちらも人間か)。「ゴエちゃん」は「マモちゃん」の前振りだったのか。
五右衛門がルパン一味となって終わったということは、続編が予定されているのかな。
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