6月20日に生配信された信州・まつもと大歌舞伎の「夏祭浪花鑑」が、23日からアーカイブ配信された。20日は南座で「いぶき、」を観ていたので、このアーカイブ配信は非常にありがたい。視聴券3500円+手数料220円。ミレール「歌舞伎オンデマンド」、Bunkamura 「My Bunkamura」、イープラス「Streaming +」、ぴあ「PIA LIVE STREAM」にて配信され、今回はぴあポイント稼ぎを兼ねて、ぴあで視聴券を購入した。
2008年の第1回から2018年の第6回までの思い出の映像(約5分)を含む、2時間47分の配信は非常に密度の濃いものだった。
中村勘九郎さん演じる団七九郎兵衛は、義理人情に厚くて格好良い。声や姿に、十八世中村勘三郎さんの姿が思い出される。中村七之助さん演じるお梶は美しく、中村長三郎さん演じる市松はかわいらしい。(親子で親子の役を演じている)。
尾上松也さんの一寸徳兵衛は2017年7月の松竹座で観てはまり役だとは思ったが、今回は徳兵衛とお辰の二役を勤めていたのには驚いた。お辰も徳兵衛に負けず劣らずのきっぷの良さ。以前、女方を主に勤めていた松也さんだから可能な配役なのだろう。
主な配役にクレジットされていなかったけれど、中村勘太郎さんが黒衣や捕手で出演していた。勘九郎さんの団七と見事な立ち回りを行い、最後は側転まで披露していた。将来がますます楽しみ。
義平次を演じる笹野高史さんは、熱演を通り越して怪演。中村屋の「夏祭浪花鑑」は、笹野さんなしでは成り立たない。
この演目の最大の見せ場、「長町裏」での本火の面明かりや手持ちの照明を用いた、歌舞伎の本興行とはまた違った演出による殺しの場面は、美しさの中に凄みが際立たされて素晴らしいものだった。
良いものを観させてもらった。
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