尾上右近自主公演 「研の会」 Christmas Party

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2020年12月24日・25日に渋谷のセルリアンタワー能楽堂で行われた、尾上右近自主公演「研の会」Christmas Party の動画配信を e+ の Streaming+ で観た。視聴券は2500円+手数料220円。

演目は藤娘(約25分)、隠~ONU~(約33分)、配信特典 梅の春(約18分)。配信特典の梅の春については動画の冒頭に、藤娘と隠~ONU~については各演目開始前に右近さん自身が簡単に解説していた。

今回配信した「藤娘」は「藤音頭」の「藤娘」で、右近さんの曽祖父六代目尾上菊五郎が残した型とのこと。(一般的に演じられているもの)。舞台客席の照明が消された中で長唄の演奏が響き渡る。と、パッと明かりがついて、舞台中央に藤の枝を持った藤娘の姿。(拍子木が使われていないので、チョンはないけど、「チョンパ」の演出)。舞台奥には藤の絵の屏風、そして、長唄・鳴物の方々は皆さん白地に藤の絵の覆面を着用。(よくよく見ると、KEN no KAI と赤字で書いてあった)。舞台全体を映している映像に加え、右近さんの上半身アップを小画面で同時に映している。実際の舞台も、映像も工夫されている。右近さんの藤の精は可憐で素晴らしいものだった。

続いて、新作の「隠~ONU~」。劇作家の藤沢文翁さんが大江山酒呑童子伝説を題材にして書いたもので、藤間勘十郎さんが演出・振付を手がけている。前半は巻物を手に語り部が物語を語り、後半は酒呑童子が大杯を手にその物語を舞踊で表現する。語り部・酒呑童子の右近さんは和装ではなく、洋装で登場したのに驚いた。人の心に隠れて存在する「妬み」・「恨み」・「嫉み」・「辛み(つらみ)」が積もり積もって情念となり、人を支配して鬼になる…。語り部の語りも感情たっぷりで良かったが、酒呑童子の舞踊が気迫にあふれていて本当に凄かった。場所は能舞台、所作は日本舞踊、衣装は洋服、音楽は内田麒麟さんが奏でるチェロ。和と洋が融合し、人間の心の闇と相対する愛とを描いた、斬新な作品だった。

配信特典の「梅の春」には三味線でお兄さんの清元斎寿さんも出演。黒紋付の素踊りで、端正なものだった。

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