歌舞伎オンデマンドで坂東玉三郎さんによる「映像×舞踊特別公演 口上 鷺娘」を観た。歌舞伎美人での上演時間は7:15-8:15 60分だったが、配信の方は58分だった。
緞帳が上がると、歌舞伎座正面の絵をバックにした金屏風の前に、玉三郎さんが平伏している。
玉三郎さんによる、舞台機構案内が始まる。舞台から梅迫りで奈落に降り、すっぽんを説明。「将門」の滝夜叉姫の打掛を着てすっぽんから登場。舞台のスクリーンには、以前の滝夜叉姫の映像。再びすっぽんで奈落へ降り、花道の下を通って鳥屋へ。阿古屋の打掛を着て、揚幕から花道へ出る玉三郎さん。舞台のスクリーンには、過去の阿古屋の花道の出の映像が映し出される。歌舞伎座で実際に観ると、実際の玉三郎さんと過去の映像と、どちらを観るのか迷ってしまいそうだ。
玉三郎さんは再びすっぽんから奈落へ降り、廻り舞台の周りを歩いて竹迫り、松迫り、大迫りを見せる。場面変わって、3階から見た舞台の迫りの上がり下がりを映した映像と玉様の解説。迫りの深さは12.5 m、半周するのに55秒、1周2分弱、直径18 mとのこと。南座の廻り舞台の直径は14 mだったかな。いつぞやの南座での歌舞伎鑑賞教室で、音楽に合わせて全ての迫りが上がったり下がったりしたのが大受けだったのを思い出した。
以上で玉三郎さんの解説による舞台機構ツアーは終了。ここまで約28分。
そして、いよいよ鷺娘。2009年1月歌舞伎座で上演された鷺娘の映像との共演になる。
緞帳が上がると、舞台のスクリーンに「鷺娘」の映像が映し出されて長唄が始まる。鷺の精の玉三郎さんがせり上がってくる映像にシンクロしながら、舞台に白無垢の玉三郎さんがせり上がってきた。ここからは、玉三郎さんの舞踊。最初の引抜きで赤い着物に代わってしばらく踊ったところで玉三郎さんがせり下がり、舞台のスクリーンの映像に入れ替わる。(ここまで、約13分)。映像を観ている観客席も映している映像を観るという、不思議な状態。しばし、過去の映像で美しい玉三郎さんの舞踊を堪能した後、最後の引抜きで白い衣装に代わり、海老反りになった玉三郎さんの映像に重なるようにして、玉三郎さんが再びせり上がってきた。最後の5分は、実際の玉三郎さんによる瀕死の鷺の精。舞台の下から、雪の中を踊る鷺の精を見上げるように撮影している映像が美しい。
なお、2009年1月の鷺娘は歌舞伎座さよなら公演 16か月全記録: 壽初春大歌舞伎/二月大歌舞伎 (第1巻) (歌舞伎座DVD BOOK)に収録されている。
劇場で、実際の舞踊と映像で一つの演目を観るのはどのような感じになったのだろうか。南座で観たかった。
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