「歌舞伎特選DVDコレクション」57号から60号は、4号にわたって平成21年(2009年)11月に歌舞伎座で行われた「仮名手本忠臣蔵」が収録されている。59号は「五段目・六段目」で、本編112分。音声ガイドは収録されいない。
早野勘平に尾上菊五郎さん、女房お軽に中村時蔵さん、母おかやに中村東蔵さん、千崎弥五郎に河原崎権十郎さん、不破数右衛門に市川段四郎さん、判人源六に市川左團次さん、斧定九郎に中村梅玉さん、一文字屋お才に七世中村芝翫さんの配役。
58号の「落人」に続き、「五段目・六段目」は勘平とお軽、特に勘平が主役となる。しかし、「五段目」では、脇役の斧定九郎が良いところを持っていく。
以前は「五段目」の楽しみは猪だったのだが、2020年夏に配信された図夢歌舞伎「五段目・六段目」での、斧定九郎がお軽の父・与市兵衛の財布を盗む場面を横から撮影した映像に驚き(客席からは、正面しか見えない)、「五段目」の見方が少し変わった。そして、2021年11月に春秋座で立川志の輔さんの「中村仲蔵」を聴き、2021年12月に NHK で放送された「忠臣蔵狂詩曲 No.5 中村仲蔵 出世階段」を観て、「五段目」というか斧定九郎の見方が大きく変わった。短い出番、一言の台詞でも、先人たちが知恵を絞って編み出してきたものが舞台に継承されている。歌舞伎の凄いところだ。
「六段目」は勘平を中心とした人間ドラマが展開される。音声ガイドはないけれど、マガジンのあらすじで十分物語についていける。
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