「歌舞伎特選DVDコレクション」33号は「十六夜清心(いざよいせいしん)」で、平成21年(2009年)1月に歌舞伎座で行われた公演が収録されている。 本編75分。音声解説が収録されている。
清心に尾上菊五郎さん、十六夜に中村時蔵さん、恋塚求女に中村梅枝さん、船頭三次に中村歌昇(現・又五郎)さん、俳諧師白蓮実は大寺正兵衛に中村吉右衛門さん他の配役。ちなみに、2018年11月に歌舞伎座遠征をしたときに観た「十六夜清心」も、主な配役は全く同じだった。(2018年12月2日付記事参照)。
江戸時代末期の安政6年(1859年)に初演された、河竹黙阿弥による「小袖曾我薊色縫(こそでそがあざみのいろぬい)」という演目から、極楽寺の所化(しょけ)清心と扇屋の遊女・十六夜による序盤の部分が「花街模様薊色縫(さともようあざみのいろぬい)」(通称:「十六夜清心」)として上演されている。
前半は清元「梅柳中宵月(うめやなぎなかもよいつき)」にのせて、清心と十六夜が稲生川に飛び込むまでを描いている。マガジンに清元の歌詞は掲載されていないものの、重要な場面での歌詞は音声ガイドが説明している。また、音声ガイドでは立唄の清元延寿太夫さんと三味線の人間国宝・清元栄三さん、延寿太夫さんのご子息で三味線の清元昂洋(現・斎寿)さんを紹介していた。(2018年11月歌舞伎座での公演は、清元延寿太夫さんのもう一人のご子息である清元栄寿太夫(尾上右近)さん初お目見得だった)。
後半の浄瑠璃は竹本で雰囲気が変わる。十六夜は稲生川で白魚漁をしていた白蓮と三次に助けられ、一方、自力で川岸に上がった清心は通りすがりの求女を殺して金を奪う。悪の道を進むことを決心した清心の変貌ぶりは後半の見どころ。
幕切れに音声ガイドにて求女は十六夜の弟で、白蓮は清心の兄ということを説明していたけれど、お芝居は先へ進まずに終わってしまう。
歌舞伎 on the web に通し狂言のあらすじが舞台写真とともに掲載されている。http://enmokudb.kabuki.ne.jp/repertoire/1015
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