歌舞伎特選DVDコレクション31 天守物語

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「歌舞伎特選DVDコレクション」31号は「天守物語」で、平成18年(2006年)7月に歌舞伎座で行われた公演が収録されている。 本編108分。なお、音声ガイドは入っていない。(この号から一部を除いて音声ガイドがなくなった)。

天守婦人富姫に坂東玉三郎さん、姫川図書之助(ずしょのすけ)に市川海老蔵さん、近江之丞桃六に市川猿弥さん、薄に上村吉弥さん、小田原修理に坂東薪車(現・市川九團次)さん、亀姫に市川春猿(現・河合雪之丞)さん、十文字ヶ原朱の盤坊に市川右近(現・右團次)さん、茅野ヶ原舌長姥に市川門之助さん他の配役。

原作は泉鏡花が1917年に発表した戯曲。

1939年(昭和14年)に鏡花が亡くなった後、1951年(昭和26年)に新派の花柳章太郎(富姫)らによって初演された。歌舞伎の初演は1955年2月の歌舞伎座で、富姫は六世中村歌右衛門。1970年代から玉三郎さんが何度も富姫を勤めていて、2009年7月に歌舞伎座で上演されたものは、シネマ歌舞伎になっている。

鏡花の書く台詞の日本語が美しく、聞き取りやすいものの、姫路城の天守閣に棲む異形の者たちの不思議な世界を描いているため、事前にマガジンかキンドルなどで読むことができる原作を読んでおいた方が話が分かりやすくなると思う。

物語の前半は富姫と、天守を訪れた亀姫たちとのやり取りが中心になる。富姫と亀姫の二人が並ぶと、本当に華やか。亀姫のお土産がちょっとグロテスクで、門之助さん演じる舌長姥はインパクトが大きい。富姫は御簾と薬玉の打掛を着ている。

後半は富姫と図書之助の恋が中心になる。前半とは一転、暗い闇の中で、富姫と図書之助の物語は意外な展開をする。富姫は龍を描いた白い打掛を着ている。

松竹座で玉三郎さん直々の打掛についての解説を聞いたことで、衣装にも興味を持って観ることができた。

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