「歌舞伎特選DVDコレクション」102号は「於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり) 新版お染の七役 序幕」で、平成15年(2003年)10月に歌舞伎座で行われた公演が収録されている。本編74分。音声ガイドは収録されていない。
配役は、油屋お染/丁稚久松/許嫁お光/奥女中竹川/芸者小糸/土手のお六に坂東玉三郎さん、庵崎久作に市川段四郎さん、山家屋清兵衛に河原崎権十郎さん、油屋多三郎に片岡愛之助さん、松本屋左四郎に尾上松助さん(尾上松也さんの父親)、油屋太郎七に市村家橘さん、鈴木弥忠太に市川團藏さん、鬼門の喜兵衛に十二世市川團十郎さん。マガジンの表紙には記載されていないけれど、下女おそのを中村歌女之丞さん、丁稚久太を坂東橘太郎(現・市村橘太郎)さんが勤めている。
「於染久松色読販」は四世鶴屋南北の作品で文化10年(1813年)に初演された。お染と久松の身分違いの恋に、横恋慕やお家騒動も相まって少々ややこしい展開になるが、マガジン掲載の人物相関図とあらすじでお芝居は楽しめる。
見どころは何といっても玉三郎さんの7役演じ分け。まず、柳島妙見の場で町娘のお染、若衆の久松、田舎娘のお光、奥女中の竹川、芸者の小糸の5役を早替わりで見せる。続く橋本座敷の場でも、お光を除く4役の早替わり。序幕最後の小梅莨屋(たばこや)の場では悪婆のお六となって、可憐なお染とはまた違う、悪の姿を見せる。
どうしても主役の玉三郎さんに目が行ってしまうが、この演目のキーパーソンとなる久作の段四郎さんの演技も見逃せない。また、喜兵衛の團十郎さんは凄みがあって印象的だった。
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