歌舞伎オンデマンドで「千成瓢薫風聚光(せんなりびょうたんはためくいさおし) 裏表太閤記(うらおもてたいこうき)」を観た。歌舞伎美人での上演時間は、序幕 4:30-5:32 1時間2分、二幕目 6:07-7:29 1時間22分、大詰 7:54-8:45 51分 合計3時間15分、配信の方は3時間20分、レンタル料金は4400円だった。
配役は、豊臣秀吉/鈴木喜多頭重成/孫悟空に松本幸四郎さん、明智光秀/前田利家に尾上松也さん、織田信忠/加藤清正に坂東巳之助さん、光秀妹お通/毛利輝元に尾上右近さん、鈴木孫市/宇喜多秀家に市川染五郎さん、服部弥兵衛に大谷廣太郎さん、十河軍平/天帝に市川猿弥さん、重成妻関の谷に市川笑也さん、重成母浅路に市川笑三郎さん、井出寿太郎に市川寿猿さん、僧日計実は四天王但馬/猪八戒に市川青虎さん、沙悟浄に市川九團次さん、多喜川一益に松本錦吾さん、織田信長に坂東彦三郎さん、天帝大后に市川門之助さん、淀殿に市川高麗蔵さん、松永弾正/徳川家康に市川中車さん、北政所に中村雀右衛門さん、大綿津見神に松本白鸚さん。
「裏表太閤記」は1981年(昭和56年)に3代目市川猿之助(2代目猿翁)さんにより初演されたもので、豊臣秀吉が活躍する表の物語と、秀吉のライバルとなる明智光秀らの悲劇的な裏の物語が織り込まれ、宙乗りや本水を使った立ち廻りなど、歌舞伎のケレン味あふれる演出がふんだんに使われた、エンタメ性の高い演目。今回、43年ぶりの上演とのこと。
序幕、二幕目はそれなりにお芝居の場面が多いけれど、二幕目後半からは、海上の船が空を飛ぶ設定になったり、1階2階の客席通路に役者さんたちが出て劇場空間全体を舞台にした立ち廻りや、本水を使った立ち廻りといった派手な演出が続く。寿猿さんの「今年で94歳」や、秀吉の幸四郎さんが孫市の染五郎さんに向かって「良き父を持たれたな」、猪八戒の青虎さんによる「飛ばない豚はただの豚」など、観客受けを狙った台詞もさりげなく入っている。
大詰は大喜利所作事。で、いきなり西遊記の世界。孫悟空の幸四郎さんと、猪八戒の青虎さんが宙乗りをする。秀吉が孫悟空の夢を見たという夢落ちだが、孫悟空も秀吉も猿つながり。初演は3代目猿之助さん、これまた猿なので、この点でも受けていたのだろう。
夢から覚めた秀吉の回想に続いて、北政所の雀右衛門さん、淀殿の高麗蔵さん、家康の中車さんによる踊り。そして、秀吉の幸四郎さんと諸大名役の若手たちによる三番叟があって、皆で形を作って幕となった。
よく考えられた演目だと思うが、3時間越えは長く感じる。(初演は昼夜通しだったそうだが)。ま、楽しければ、良いか。
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