歌舞伎オンデマンド 文七元結物語

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歌舞伎オンデマンドで「文七元結物語」を観た。歌舞伎美人での上演時間は、2:01-3::32 1時間31分で、配信は1時間28分だった。

配役は、左官長兵衛に中村獅童さん、長兵衛女房お兼に寺島しのぶさん、近江屋手代文七に坂東新悟さん、長兵衛娘お久に中村玉太郎さん、家主勘八に片岡亀蔵さん、角海老女将お駒に片岡孝太郎さん、近江屋卯兵衛に坂東彌十郎さん。

三遊亭圓朝の落語「文七元結」を歌舞伎化した「人情噺文七元結」は、これまで尾上菊五郎さんや十八世中村勘三郎さんなどが演じてきた演目で、山田洋二監督によりシネマ歌舞伎化もされてきた。今回、その山田洋二監督が新たな構想で脚本・演出を手掛けたのが「文七元結物語」で、女優の寺島しのぶさんが歌舞伎座の舞台に立つということでも話題となった。

十八世勘三郎さん出演のシネマ歌舞伎「人情噺文七元結」も、菊五郎さんの舞台を収録した「歌舞伎特選DVDコレクション 85号」も観ているので、従来のものとの比較しながらの鑑賞となった。

落語や「人情噺文七元結」と「文七元結物語」の最大の違いは、どうしてお久が身売りをしたかの描写。前半にお久が角海老を訪ねて自ら身売りする場面があることで、長兵衛のダメさ加減が際立つし、また、角海老の女将から借りた50両の重みが一層リアルに伝わってくる。両親思いで健気でいじらしいお久を玉太郎さんが熱演している。また、孝太郎さんのお駒が気風も情けもあって良かった。

また、角海老や長兵衛の家の大道具が斬新だった。木材を組み合わせて構成され壁がなく奥が見える状態で、現代劇のセットと言ってもおかしくないもの。演じられているのは江戸時代なのに、違和感がないのが歌舞伎らしい。

お久を探す、近所のおかみさんたちと寺島しのぶさんのお兼が花道から登場する。この場面もこの演目オリジナル。寺島しのぶさんの登場に「音羽屋」と大向うがかかっていた。長兵衛の家に明かり灯り、獅童さんの長兵衛登場。お兼と長兵衛のやり取りから、従来の流れになる。獅童さんの長兵衛と寺島しのぶさんのお兼は、しのぶさんが見劣りすることもなく、随所に笑いが起こって、見事な夫婦役だった。

角海老で50両を借りた長兵衛が、橋から身投げしようとする文七を助ける。普段は女方の新悟さんが文七役。まじめな人柄が出ていて、うってつけの配役だった。家主勘八の亀蔵さん、近江屋卯兵衛の彌十郎さんもコメディに対応できる役者さんなので、最後の場面が大いに盛り上がり、「人情噺文七元結」よりも明るくハッピーに幕となった。

色々な面でチャレンジングな「文七元結物語」だったが、初演は大成功だと思う。今後、再演するのかどうか、再演するとなると配役はどうするのか。松竹はどう判断するだろう?

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