歌舞伎オンデマンドで「菊宴月白浪(きくのえんつきのしらなみ) 忠臣蔵後日譚(ちゅうしんぐらごにちのものがたり)」を観た。歌舞伎美人での上演時間は、序幕 11:00-12:01 1時間1分、二幕目 12:31-1:46 1時間15分、大詰 2:06-3:00 54分 合計3時間10分で、配信は3時間13分だった。
配役は、斧定九郎・暁星五郎に市川中車さん、金笄のおかるに中村壱太郎さん、塩谷縫之助に中村種之助さん、腰元浮橋に市川男寅さん、角兵衛獅子猪之松に市村竹松さん、毛利小源太に中村福之助さん、丁稚伊吾に中村玉太郎さん、下部与五郎・直助に中村歌之助さん、高野師泰に市川青虎さん、山名次郎左衛門に澤村由次郎さん、世話人寿作に市川寿猿さん、一文字屋お六に市川笑三郎さん、加古川に市川笑也さん、仏権兵衛に市川猿弥さん、斧九郎兵衛に浅野和之さん、石堂数馬之助に市川門之助さん。
当初は斧定九郎は市川猿之助さんの予定だったが、猿之助さん休演のため中車さんに配役が変更となった。6月は「傾城反魂香」で主役を勤めたばかりなのに、7月は配役変更での主役、複数回の立ち廻り、初めての宙乗りでいろいろ大変だったことだろう。
この演目は「仮名手本忠臣蔵」をもとに鶴屋南北が書いたもので、3代目市川猿之助(現・猿翁)さんが1984年(昭和59年)に復活上演して再演を重ねてきた。斧定九郎が忍術を習得して暁星五郎(あかつきほしごろう)と名を変え、塩谷家再興のために奮闘する姿を描いていて、物語の面白さだけではなく、舞台後方一面に広がる花火や、両宙乗り、大屋根の立ち廻りなど派手な演出も見どころとなっている。「仮名手本忠臣蔵」はもちろん、「東海道四谷怪談」や「摂州合邦辻」、「加賀見山再岩藤」など有名な演目のパロディが随所に散りばめられていて、いろいろ知っていると楽しい。今年3月南座で上演された、大序から十一段目までの解説付き「仮名手本忠臣蔵」を観たのがここで役に立っている。(壱太郎さんも出演している)。
幕開きは「仮名手本忠臣蔵」の大序のパロディで、口上人形が登場。今年は南座に歌舞伎座にと口上人形も大活躍だ。口上人形の声は市川團子さん。
配役を見て分かるように、定九郎に次ぐ主要な役は20代30代の若手が勤め、澤瀉屋のベテランや門之助さん、そして、浅野和之さんが脇を固めている。
浮橋と仏権兵衛は兄妹だが、実は権兵衛は養子で定九郎の双子の兄だったとか、与五郎が高野師直のご落胤だったとか、いろいろ話は複雑になるけれど、結局は中車さんの定九郎と歌之助さんの与五郎のバトルに。終盤は中車さんによる大凧での両宙乗りから、壱太郎さんのおかるも合流しての大屋根での立ち廻りとなり、最後は切り口上で終わった。
角兵衛獅子猪之松から、二つたまや、かぎやで花火に繋がるとは思わなかった。昨今の映像技術もあって、花火の映像が非常に綺麗だった。
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