歌舞伎オンデマンドで「東海道四谷怪談」を観た。歌舞伎美人での上演時間は、序幕 6:00-7:30、二幕目 7:50-8:10 1時間50分で、配信も同じく1時間50分だった。
配役は、お岩/お花に坂東玉三郎さん、直助権兵衛に尾上松緑さん、小仏小平/佐藤与茂七に中村橋之助さん、お梅に片岡千之助さん、按摩宅悦に片岡松之助さん、乳母おまきに中村歌女之丞さん、伊藤喜兵衛に片岡亀蔵さん、後家お弓に市村萬次郎さん、民谷伊右衛門に片岡仁左衛門さん。
もともと、「東海道四谷怪談」は長いお話なのだが(2019年9月南座では、幕間50分を含む4時間だった)、今回は、四谷町伊右衛門浪宅の場~伊藤喜衛門内の場~元の浪宅の場~本所砂村隠亡堀(おんぼうぼり)の場と、さらに短縮されたものでの上演だった。
ということで、話の筋を楽しむより、38年ぶりとなる仁左衛門さんの伊右衛門に、同じく38年ぶりにお岩/お花を勤める玉三郎さんとの共演を楽しむのが主な目的になる。
4月・6月の「桜姫東文章」に続き、長年のファンが望んでいた玉三郎さんと仁左衛門さんによる「四谷怪談」の上演。コロナ禍という特殊事情がなかったら実現しなかったのかもしれないけれど、この奇跡的な配役の「四谷怪談」を配信で楽しませてもらった。
仁左衛門さんの伊右衛門は、これぞ色悪というような色気と怖さと凄みがあった。玉三郎さんのお岩は、伊藤家からの秘薬を飲むまでは、病で弱っていながらも美しさと子供を守る芯の強さがあらわれていた。薬を服用して面相が変わり、伊右衛門に裏切られたことを知ったときのお岩は、恨みによる恐ろしさと悲しさが一体となったものだった。仁左衛門さん、玉三郎さんだからこそ、成せる芸。
貴重なものを観させてもらった。
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