歌舞伎オンデマンドで「加賀見山再岩藤(かがみやまごにちのいわふじ)」(通称:骨寄せの岩藤)を観た。歌舞伎美人での上演時間は 11:00-11:54 54分、12:09-12:53 44分 合計1時間38分で、配信は1時間36分だった。
配役は、多賀大領/御台梅の方/奴伊達平/望月弾正/安田隼人/岩藤の霊に市川猿之助さん、鳥居又助に坂東巳之助さん、安田帯刀に市川男女蔵さん、蟹江一角に中村亀鶴さん、花園姫に市川男寅さん、蟹江主税に中村鷹之資さん、局能村に市川寿猿さん、局浦風に市川笑三郎さん、お柳の方に市川笑也さん、花房求女に市川門之助さん、二代目中老尾上に中村雀右衛門さん。
「加賀見山再岩藤」は、通し狂言では半日ががりの長いお芝居なのだが、このコロナ禍の時間制限のため、「岩藤怪異篇」として名場面ダイジェストのようなかたちで上演された。また、市川猿之助さんが新型コロナウイルス感染のため初日の8月3日から19日まで休演、20日から28日までの短期間の出演だったことから、歌舞伎オンデマンドでの配信が8月の他の演目より遅れることになった。
長いお芝居を約1時間半に凝縮しているため、初めて観た場合、話についていけない可能性がある。歌舞伎オンデマンドはそのあたりを考慮してか、通常版本編のほかに、イヤホンガイド同時解説付き本編+解説なし通常版本編や、イヤホンガイドWeb講座+通常版本編というセットでのレンタル商品を用意していた。
私はこれまでにこの演目を観ていないので(2010年3月南座で夜の部に上演されたけれど、昼の部しか観なかった)、イヤホンガイド同時解説付き本編+解説なし通常版本編をレンタルし、最初にイヤホンガイド同時解説付きで観て、次に通常版で鑑賞した。
この演目の見どころは、話の内容よりも、猿之助さんの6役早替わり。数十秒の間に早変わりするのだから、裏方も大変だ。(代役を勤めた巳之助さんは、相当大変だったことだろう)。そして、通称にあるように、バラバラになっていた岩藤の骨が集まって、人間の骨格標本のようになり、岩藤の亡霊が現れる場面。また、大薩摩のあと、岩藤の霊が傘を片手に宙を飛び、花見に興じる場面は目の覚めるような美しさだった。最後に、御年91歳の寿猿さんが女方を勤める姿も見逃せない。
今回の上演でストーリーはつかめたので、いつか、通しで上演されるときは細かいところも含めて楽しめるだろう。早く二部制に戻って、長い演目も上演されることを願う。
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