歌舞伎オンデマンドで「心中月夜星野屋」を観た。歌舞伎美人での上演時間は1:20-2:20 50分で、配信の方は53分だった。
配役は、おたかに中村七之助さん、星野屋照蔵に市川中車さん、母お熊に市川猿弥さん、和泉屋藤助に片岡亀蔵さん。
この演目は古典落語の「星野屋」をもとに、小佐田定雄さんが役者へ当て書きしたもので、星野屋照蔵は(香川)照之から、おたかは七之助さんの本名の隆行から取っているとのこと。(産経新聞 2020.12.1 記事 https://www.sankei.com/entertainments/news/201201/ent2012010006-n1.html )
1時間弱の演目ながら、照蔵とおたか・お熊母娘の駆け引きで、話が二転三転して本当に面白かった。2018年8月に歌舞伎座で初演され、2019年4月に金丸座、そして、2020年12月に再び歌舞伎座と、短期間に再演を繰り返すのも分かる。
照蔵が「俺は虫が大好きだよ」(「昆虫すごいぜ」)、「面白くない、です(DEATH)」(「半沢直樹」)といったテレビ番組からの台詞や、新型コロナウイルス感染対策(?)のため、お熊が口当てをつけて登場したり、ソーシャルディスタンスや三密という2020年の世情を反映する言葉も入り、芝居の設定は江戸時代ながらも、歌舞伎らしい、現在を取り入れたやり取りが楽しい。青物問屋の主人である照蔵が言う「野菜づくし」の台詞も面白い。また、死を回避するため、海老のように後ろに飛ぶことをおたかに指南するお熊役の猿弥さんの身体能力の高さに驚いた。
男女の駆け引きということで、2015年10月に平成中村座で観た「狐狸狐狸ばなし」を思い出した。七之助さんは、男をだます美女の役が上手い。
南座や松竹座での再演を願いたいところだが、新型コロナウイルス感染が落ち着かないと難しいだろうな。
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