歌舞伎オンデマンドで「吉野山」を観た。歌舞伎美人での上演時間は4:15-5:15 60分だったが、配信の方は、上演前の市川猿之助さんあいさつを含め、1時間3分だった。
配役は、佐藤忠信実は源九郎狐に市川猿之助さん、逸見藤太に市川猿弥さん、静御前に中村七之助さん。
猿之助さんの「吉野山」は、2016年6月歌舞伎座(静御前は当時の市川染五郎さん)、2013年1月大阪松竹座(静御前は坂田藤十郎さん)と過去に2回観ている。猿之助さんが忠信を勤める「吉野山」は多くはなかったように記憶していたので、上演記録を歌舞伎公演データーベース https://kabukidb.net/ で検索してみると、猿之助襲名後の本興行は、上記の大阪松竹座と歌舞伎座の2回だった。
場内に流れていた猿之助さんのあいさつが終わり、幕が開くと、舞台は桜が満開の吉野山の風景。と、上手の清元連中が目から下をカバーする、黒い布の覆面を着用していたのに目が行った。黒は見えないものというお約束だけど、何か変な感じ。
花道から美しい七之助さんの静御前が登場するが、大向こうがかからないため、何か物足りない。ひとしきり静御前が踊り、花道すっぽんから猿之助さんの忠信が登場するも、大向こうがないので、今一つ雰囲気が盛り上がらない。やはり、歌舞伎では大向こうも重要な要素だ。
佐藤忠信の踊りの合間に、時折みせる狐の動物的な所作。猿之助さんの踊り分けが見事だ。
静御前と忠信との舞。猿之助さんより七之助さんの方が身長が高いから、七之助さん、背を盗むのが大変だろうなと思いながら観ていた。(特に、女雛男雛の姿)。
後半、竹本連中が加わっての合戦再現場面。竹本連中も、黒い覆面を着用していた。
終盤、猿弥さんの逸見藤太が花四天を引き連れ花道から登場するが、各人が距離をとって登場していた。そして、花四天が6人という少なさ。(通常なら、8人か10人が並ぶ)。これも、新型コロナウイルス感染対策、ソーシャルディスタンス。
幕切れ、忠信の衣裳がぶっかえって白地に火焔宝珠の模様のものになり、狐の本性が出ての引っ込み。この姿を見ると、猿之助さんの「四の切」を観てみたいと思うが、このご時世、また、猿之助さんの怪我の影響もあるだろうから、当分は難しいのだろう。
2020年9月7日 追記
動画配信については良い面・悪い面があるけれど、配信期間内なら、何度でも観ることが出来るのはメリット。せっかくなら、清元の歌詞を見ながら鑑賞しようと検索してみたところ、この「吉野山」に出演していた清元國惠太夫さんがブログに歌詞を載せていた。
http://kuniedayu.com/blog/2020/08/post-302.html
歌詞を見ながらだと、清元や竹本が聞き取りやすいし、内容も良くわかる。
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