「歌舞伎特選DVDコレクション」99号は「松浦の太鼓」で、平成22年(2010年)1月に歌舞伎座で行われた公演が収録されている。本編74分。音声ガイドは収録されていない。
松浦鎮信に中村吉右衛門さん、其角に中村歌六さん、鵜飼左司馬に澤村由次郎さん、渕辺市右衛門に中村松江さん、早瀬近吾に中村吉之助(現・吉之丞)さん、里見幾之亟に中村種之助(現・歌昇)さん、江川文太夫に大谷桂三さん、お縫に中村芝雀(現・雀右衛門)さん、大高源吾に中村梅玉さんの配役。なお、今から13年前に上演された舞台なので、米吉さんと歌六さんに対しての大向こうは「萬屋」が掛かっている。(歌六さん一門は2010年9月に「萬屋」から「播磨屋」に戻った)。
原作は安政3年(1856年)に初演された三世瀬川如皐(じょこう)と三世桜田治助の合作による「新台いろは書始」。明治になって、勝能進(諺蔵)が大高源吾のくだりを抜き出して改作したのが「松浦の太鼓」になる。明治の新作なので、時代設定が江戸の元禄、登場人物は実名も使われている。
音声ガイドはないものの、台詞は分かりやすいので、マガジンのあらすじを読んでおけばお芝居は楽しめる。忠臣蔵外伝の一つなので、忠臣蔵を知っていると一層楽しめる。
吉良邸の隣に住む松浦候は赤穂浪士の仇討ちを心待ちにしていたが、そんな気配はなく、大高源吾の妹で松浦家に奉公するお縫に暇を出そうと言い出す。ところが、赤穂浪士が吉良邸に討ち入ったと気づくと、一転、助太刀をすると馬にまたがる。気性が激しいものの憎めない松浦候を、吉右衛門さんが豪快に愛嬌たっぷりに演じている。
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