歌舞伎特選DVDコレクション73 本朝廿四孝 十種香

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「歌舞伎特選DVDコレクション」73号は「本朝廿四孝 十種香」で、平成20年(2009年)4月に歌舞伎座で行われた公演が収録されている。本編51分。音声ガイド収録。

八重垣姫に中村時蔵さん、武田勝頼に中村橋之助(現・芝翫)さん、白須賀六郎に中村錦之助さん、原小文治に市川團藏さん、腰元濡衣に片岡秀太郎さん、長尾謙信に片岡我當さんの配役。

「本朝廿四孝」は近松半二ほかによる作品で、明和3年(1766年)に人形浄瑠璃として初演され、歌舞伎に移された。物語は、長尾謙信の娘の八重垣姫が、武田信玄の息子で許婚の武田勝頼が切腹した命日に、十種香を焚いて回向をしている場面から始まる。しかし、切腹した勝頼は実は偽物で、本物の勝頼は花作り蓑作として長尾家で働いている。話の筋は少々ややこしいものの、マガジンのあらすじと音声ガイドの解説でお芝居は十分に楽しめる。

歌舞伎に登場するお姫様は、その衣装の色から赤姫と呼ばれている。「十種香」の主人公の八重垣姫は勝頼に情熱的に恋する女性で、「金閣寺」の雪姫(40号)、「鎌倉三代記」(56号)の時姫と合わせて三姫と呼ばれる、特に難しいとされる女方の大役のひとつ。

幕開きの舞台上に、中央に鴇(とき)色の着物に紫の長裃の勝頼、上手に赤姫の八重垣姫、下手に黒の振袖の濡衣と、それぞれの役柄と衣装の色が視覚的にはっきり分かるように表現されているのが歌舞伎らしいところ。

切腹したはずの勝頼が生きていて、八重垣姫は勝頼と結ばれ、めでたし、めでたしとならないのがつらいところ。父・謙信が勝頼を使いにやったその直後に、白須賀六郎と原小文治に勝頼を殺すよう命じる。「十種香」はここで幕となるのだが、続く「奥庭」は歌舞伎ではめったに上演されないのが残念なところ。

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