「歌舞伎特選DVDコレクション」47号は「當世流小栗判官 三幕目」で、平成23年(2011年)10月に新橋演舞場で行われた公演が収録されている。本編85分。音声ガイドは収録されていない。
小栗判官兼氏/娘お駒に市川亀治郎(現・猿之助)さん、照手姫に市川笑也さん、上杉安房守に中村獅童さん、横山次郎に市川猿弥さん、後家お槙/今出川頼房に市川笑三郎さん、近藤采女之助に市川春猿(現・河合雪之丞)さん、横山三郎に坂東薪車(現・市川九團次)さん、横山大膳に市川右近(現・右團次)さん、遊行上人に片岡愛之助さんの配役。
三幕目は、序幕・二幕目以上に物語が目まぐるしく展開する。横山家の重宝「勝鬨の轡(くつわ)」を手に入れるため、小栗判官は美濃国青墓にある萬屋の娘お駒と祝言を挙げることになるが、萬屋で小萩と名を変え下女として働いていた照手姫と再会する。萬屋の後家お槙は、かつて横山郡司に仕えていて、照手姫の乳母だった。恋敵の照手姫を殺そうとしたお駒は、お槙ともみ合っているうちに斬られてしまう。お駒の幽霊の怨念により、判官は病に侵される…。亀治郎さんの小栗判官とお駒の二役早替わりが見どころ。
病で足が不自由になった判官を車に乗せ、雪深い熊野の山中を照手姫が曳いて歩く道行の場面を経て、二人は湯の峰の遊行上人のもとへたどり着く。遊行上人が祈ると、熊野権現の霊験により判官の病が治る。そして、絵馬から出てきた天馬に乗って、判官と照手姫は常陸国を目指す。亀治郎さんと笑也さんによる宙乗りが、この演目の最大の見せ場であるのは言うまでもない。
大詰め、常陸国華厳の大滝の場は、主な役者さんが勢ぞろいをして、切り口上で終わる。
序幕・二幕目、三幕目合わせて約3時間半と長いものの、歌舞伎の要素が凝縮された、見どころの多い演目だった。
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