「歌舞伎特選DVDコレクション」109号は「沓手鳥孤城落月(ほととぎすこじょうのらくげつ)」で、平成14年(2002年)11月に歌舞伎座で行われた公演が収録されている。本編42分。4:3映像のため、両サイドに灰色の帯がある。音声ガイドは収録されていない。
配役は、淀の方に七世中村芝翫さん、豊臣秀頼に中村福助さん、大野修理之亮に中村橋之助(現・芝翫)さん、裸武者石川銀八に中村勘太郎(現・勘九郎)さん、千姫に中村七之助さん、小姓神矢新吾に中村児太郎さん、曲淵八郎に大谷桂三さん、秀島大五郎に澤村由次郎さん、小田五郎次に市川男寅(現・男女蔵)さん、加賀義盛に片岡進之介さん、大住与左衛門に中村歌昇(現・又五郎)さん、饗庭(あえば)の局に中村東蔵さん、大蔵の局に片岡秀太郎さん、正栄尼に澤村田之助さん、氏家内膳に中村富十郎さん。表紙に記載されていないが、梶の葉の局を中村芝喜松(現・梅花)さんが勤めている。
「沓手鳥孤城落月」は坪内逍遥の作品で、明治38年(1905年)に初演された。竹本義太夫や長唄などがなく、台詞劇として展開されているので、音声ガイドがなくともマガジンのあらすじでお芝居は十分楽しめる。
最初の「二の丸乱戦の場」は、進之介さんをはじめとする(2002年当時の)若手による立ち廻りが見どころ。特に、勘太郎さんの裸武者は見応えがある(貴重な映像だ)。また、まだ8歳の児太郎さんが小姓神矢新吾で可愛らしくそして勇ましい姿を見せている。
続く「城内山里糒蔵(ほしいぐら)階上の場」では、千姫に逃げられ怒りのあまり錯乱状態となった、七世芝翫さん演じる淀の方が最大のの見どころ。
平成29年(2017年)10月歌舞伎座で坂東玉三郎さんが淀の方を演じたものがシネマ歌舞伎化されているので、両方観ると演出の違いなどが比較できて面白い。
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