歌舞伎オンデマンドで「義経千本桜 木の実・小金吾・討死・すし屋」を観た。歌舞伎美人での上演時間は、「木の実・小金吾討死」4:00-4:55 55分、「すし屋」5:15-6:50 1時間35分、合計2時間30分で、配信の方は2時間34分だった。
配役は、いがみの権太に片岡仁左衛門さん、弥助実は三位中将維盛に中村錦之助さん、若葉の内侍に片岡孝太郎さん、お里に中村壱太郎さん、主馬小金吾に片岡千之助さん、六代君に中村種太郎さん(中村歌昇さん長男)、権太倅善太郎に中村秀之介さん(歌昇さん次男)、弥左衛門女房お米に中村梅花さん、猪熊大之進に片岡松之助さん、権太女房小せんに上村吉弥さん、梶原平三景時に坂東彌十郎さん、鮓屋弥左衛門に中村歌六さん。
偶然にも、2022年12月南座顔見世同様に、上方の役者に小川家一族と梅花さんによる配役。権太は江戸の中村獅童さんと上方の仁左衛門さんで異なったけれど、お里の壱太郎さん、お米(江戸ではおくら)の梅花さんは同じで、維盛は中村隼人さん錦之助さん親子が入れ替わった。(壱太郎さん、江戸と上方の違いシリーズとして「すし屋」をとりあげてくれないかな)。
仁左衛門さんの権太は2018年11月南座顔見世(この時の弥助は中村時蔵さん)で観ているけれど、それが最後だろうと思っていただけに、配信という形ではあるものの、また仁左衛門さんの権太を観ることができて良かった。
それにしても、仁左衛門さんの権太が凄かった。特に「すし屋」で母に甘えて金をせびる姿はやんちゃな若者だった。母の膝に甘える姿に違和感を覚えないのが驚異的。親すら騙すどうしようもない悪者が最後には善人にもどる。仁左衛門さんが善太郎の笛が入った巾着袋を手にしたときの、はっとした顔が涙を誘う。最後に一瞬安どの表情を浮かべたように見えたが、7月松竹座の「俊寛」の幕切れを思い起こさせるような表情だった。仁左衛門さんならではの、上方の権太だった。
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