4月22日に歌舞伎オンデマンドで生配信された「新・陰陽師 滝夜叉姫」を、見逃し配信で観た。歌舞伎美人での上演時間は発端・序幕 11:00-11:56 56分、二幕目 12:31-1:27 56分、大詰 1:52-2:52 1時間で合計2時間52分、配信は開演前後の放送を含め4時間42分だった。
配役は、安倍晴明に中村隼人さん、源博雅に市川染五郎さん、平将門/村上帝に坂東巳之助さん、滝夜叉姫/如月姫に中村壱太郎さん、興世王に尾上右近さん、桔梗の前に中村児太郎さん、俵藤太に中村福之助さん、大蛇丸に中村鷹之資さん、源八坊に市川青虎さん、琴吹の内侍に市川寿猿さん、式神蜜夜に市川笑三郎さん、式神蜜虫に市川笑也さん、藤原忠平に市川猿弥さん、藤原実頼に市川中車さん、三上山の山姥に市川門之助さん、蘆屋道満に市川猿之助さん。
原作は夢枕獏氏の「陰陽師 滝夜叉姫」で、2013年9月歌舞伎座にて当時の市川染五郎(現・松本幸四郎)さんが安倍晴明役で「新作 陰陽師」が上演されているのだが、原作は読んでいないし、10年前の芝居を観ていないので、全く予備知識なしでの観劇となった。
第一印象としては、話の筋はともかくとして、歌舞伎の要素を凝縮した若手が活躍する演目というものだった。これまで観てきた古典歌舞伎の演出や台詞を一部変えたものなどが随所に出てくる。猿之助さん演じる蘆屋道満の登場は、四の切そのまんま。序幕の終わりは、それこそ「忍夜恋曲者 将門」だった。気付いたものだけでも、「車引」(梅王丸と桜丸のやり取り)、「四の切」、「将門」、「蘆屋道満大内鑑 葛の葉」(葛の葉が書き残す歌)、「助六」(白酒売りの台詞)、「道成寺」(聞いたか坊主)、「一條大蔵譚 大蔵館奥殿」(八剣勘解由の台詞)と数が多い。
安倍晴明役の中村隼人さんはじめ、主な役を平成生まれの御曹司たちが勤める(巳之助さんが平成元年生、染五郎さんが平成17年生)。各々のいわゆる「ニン」に合った配役で、立ち廻りや踊りでそれぞれの見せ場があった。立役の右近さんと女方の壱太郎さんの二人による六方の引っ込みは印象的だった。そして、澤瀉屋を中心とした中堅が脇を固める。楽屋落ちといじられていたけれど、今年5月20日で93歳になる市川寿猿さんも元気な姿を見せていた。
しかし、最後の宙乗りで猿之助さんが全部持っていた。さすがだ。
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