歌舞伎オンデマンドで「神の鳥(こうのとり)」を観た。歌舞伎美人での上演時間は、11:00-12:04 1時間4分で、配信も同じだった。
配役は、狂言師右近実はこうのとり(雄鳥)/山中鹿之助幸盛に片岡愛之助さん、狂言師左近実はこうのとり(雌鳥)に中村壱太郎さん、仁木入道に中村種之助さん、傾城柏木に上村吉弥さん、赤松満祐に中村東蔵さん。
この演目は、兵庫県豊岡市にある出石永楽館で平成26年(2014年)に初演されたもの。
幕が開き、奴たちの渡り台詞に続いて浅葱幕が落とされると、舞台は紅葉美しい出石神社の社頭。役者さんたちが並んでいる姿や、宴の様子は「暫」を彷彿させるし、子供のこうのとり(の作り物)を入れて吊るされている籠は、「道成寺」みたいだった。
舞台が暗転し、再び照明がつくと、花道七三に狂言師右近の愛之助さんと狂言師左近の壱太郎さんの姿。すっぽんからの登場ということで、人ではないものを暗示している。二人が本舞台に移って、踊りが始まる。その後、仁木入道の種之助さん、そして柏木の吉弥さんが入れ替わり立ち代わり加わっての舞踊となり、そうこうするうちに、子供のこうのとりが籠から脱出する。
親子三人(三羽?)そろったところで、右近と左近の衣裳が引き抜かれてこうのとりの姿となり、家臣たちとの立ち回りの末、捕らえられてしまう。と、そこへ花道奥の揚幕から「待て」「待て、待ちやがれ」の声が響く。愛之助さん二役目の鹿之助で登場。出石に近い、城崎や玄武洞を入れた台詞は、永楽館での上演時にはさぞかし受けていたことだろう。
鹿之助が本舞台に移り、家臣たちとの立ち回りや、奴たちのアクロバットなど見せ場が続く。本舞台に幕が引かれ、鹿之助が悠々と花道を引き揚げて終わった。
こうのとり夫婦・親子の舞踊を中心に、前半と終盤は「暫」のような華やかな舞台だった。
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