歌舞伎オンデマンドで「義経千本桜 川連法眼館(通称:四の切)」を観た。歌舞伎美人での上演時間は7:30-8:35 1時間5分で、配信の方も同じく1時間5分だった。
配役は、佐藤忠信・佐藤忠信実は源九郎狐に中村獅童さん、源義経に市川染五郎さん、駿河次郎に市川團子さん、亀井六郎に澤村國矢さん、静御前に中村莟玉さん。若い役者さんたちが重要な配役を勤める、挑戦的なものだった。
中村獅童さんは2003年1月の浅草公会堂以来、17年振りの狐忠信とのこと。獅童さんが初めて狐忠信を勤めたのが、2001年11月の平成中村座の試演会。2003年1月も十八世中村勘三郎さんの指導を受けたとのこと。今回も花道を引っ込む中村屋の「四の切」となる。
冒頭は川連法眼・飛鳥夫婦のやり取りではなく、腰元たちの状況説明から。腰元たちが退き、義経の染五郎さんが登場する。染五郎さん、声変わりは済んだのかな?声が若々しい。そして、顔が小さい。花道から佐藤忠信の獅童さんが登場する。裃に長袴の正装で、いかにも歌舞伎といった立派な武士の姿だ。そうこうするうちに、亀井の國矢さんと駿河の團子さんが登場する。團子さん、背が高くて顔が小さい。亀井の國矢さんは40代だけど、若手に負けじと元気いっぱい。竹本の曲調が変わり、花道から静御前の莟玉さんが出てくる。若くてかわいらしい静御前だ。
登場人物たちが一旦退場して、館を警備する腰元たちで時間をつなぐ。
竹本が交代し、再び静御前が登場して鼓を打つ。怪しげな太鼓の音。そして花道奥の鳥屋から「出があるよ」の声で花道の映像。本舞台が映し出されると、既に狐忠信の獅童さんが階段に現れていた。
獅童さんの狐忠信は、動きが大きく、硬いというかカクカクしているというか、滑らかではない。下手の座敷から床下に落ちて縁の下から狐の姿で出てきたとき、「あらしのよるに」のがぶの印象が強かったこともあり、狐よりは狼に見えてしまった。台詞も顔の表情も体の動きも、感情があふれている。しかし、欄干渡りは腰が高いし、降りるときはドサッと大きな音がしていた。何度も演じている猿之助さんとは違うのは仕方がないけど、もう少し何とかならなかったのか。下手の垣に飛び込み、欄間抜けで登場、縁側で踏み切って舞台へ飛び下りる。ワイルドな獅童さんは、やはり、狐よりは狼に見える。義経から鼓をもらって、喜びを爆発させる狐。出演者を減らすためか荒法師は登場せず、法師を通力で化かす狐の動きのみ。上手の桜の木のところで形を作り、火焔宝珠の衣装ではなく、ふさふさの毛の衣装で鼓を手に花道を引っ込んだ。
「あらしのよるに」へのきっかけとなった「四の切」。超歌舞伎「今昔饗宴千本桜」の元ネタとなった「義経千本桜」。獅童さんにとって重要な演目「四の切」を、映像とはいえ観ることが出来たのは良かった。
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