「歌舞伎特選DVDコレクション」89号は「忍夜恋曲者(しのびよるこいはくせもの) 将門」で、平成14年(2002年)4月に歌舞伎座で行われた公演が収録されている。本編47分。音声ガイドが収録されている。 4:3映像のため、両サイドに灰色の帯がある。
傾城如月実は滝夜叉姫に中村魁春さん、大宅太郎光圀に十二世市川團十郎さんの配役。魁春さんの襲名披露狂言だった。
もとは天保7年(1836)年に初演された「世善知鳥相馬旧殿(よにうとうそうまのふるごしょ)」大詰の常磐津舞踊。出家していた平将門の娘・滝夜叉が、蝦蟇の妖術により仏道を捨て国家転覆を誓い、相馬の古御所に隠れ住んでいるところへ、源頼信の命を受け将門の残党を探す大宅太郎光圀がやって来たところからお芝居が始まる。
マガジンにあらすじと常磐津の歌詞の大部分が掲載されていて、また、音声ガイドも詳しいため、歌舞伎に慣れていない人にも分かりやすいと思う。
ろうそくの灯りに照らされ花道すっぽんからせり上がる、歌舞伎らしい演出で登場する魁春さんの傾城如月は非常に妖艶。対する、團十郎さんの光圀は勇ましい姿を見せる。それぞれ踊りは、この演目の見せ場。後半、力者たちが出てきて所作立て、そして、立ち廻りと繰り広げられ、滝夜叉姫の衣装がぶっかえったり、巨大な蝦蟇が登場したり、屋台が崩れたりと派手な演出もあり、歌舞伎の醍醐味が味わえる。
魁春さんの襲名披露なので祝幕が使われているのだが、幕開きは場内が暗くなっているので、デザインが良く分からず、お芝居が終わってようやくその全貌が明らかになった。
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