歌舞伎特選DVDコレクション108 義経千本桜 すし屋

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「歌舞伎特選DVDコレクション」108号は「義経千本桜 すし屋」で、平成26年(2014年)11月に歌舞伎座で行われた公演が収録されている。本編101分。音声ガイドは収録されていない。

配役は、いがみの権太に尾上菊五郎さん、弥助実は三位中将維盛に中村時蔵さん、お里に中村梅枝さん、梶原の臣に坂東亀寿(現・亀蔵)さん、梶原の臣に中村萬太郎さん、梶原の臣に坂東巳之助さん、梶原の臣に中村隼人さん、弥左衛門女房おくらに市川右之助(現・齊入)さん、若葉の内侍に市村萬次郎さん鮓屋弥左衛門に市川左團次さん、梶原平三景時に松本幸四郎(現・白鸚)さん。

「すし屋」は、全五段からなる人形浄瑠璃の「義経千本桜」のうち、三段目にあたる。三段目は「椎の木の段(歌舞伎では「木の実」)、「小金吾討死の段」そして「すし屋の段」で構成されているが、歌舞伎では「木の実」「小金吾討死」から上演されることは少なく、「すし屋」単独での上演が多い。「木の実」「小金吾討死」から観ると話の流れが一層分かりやすいけれど、「すし屋」のみでもお芝居は十分楽しめる。(マガジンに「木の実」「小金吾討死」のあらすじを載せてほしかった)。

いたずらっ子や腕白小僧、やんちゃなどの意味で関西で使われる「ごんた」は、この「すし屋」のいがみの権太から由来している。

それだけ関西になじみ深いいがみの権太だけど、このDVD収録の「すし屋」は菊五郎さんによる音羽屋の権太なので、江戸の言葉をしゃべり威勢が良い。また、権太を音羽屋型で演じるときは、五代目松本幸四郎に敬意を表して左の眉尻にほくろを描いている。(こういったところにも解説が欲しかったのだが、音声ガイドは収録されていないし、マガジンにも記載がない)。

「すし屋」の一番の見どころは、ならず者の権太が父親の窮地に良心をみせ、自分の妻と子を身替りに維盛たちを助けたことを家族に話す場面。悪人が善人に戻ることから「もどり」と呼ばれている。

お芝居の前半部分で、時蔵さんの弥助が一瞬にして三位中将維盛に変わる演技も見逃せない。後半、幸四郎(現・白鸚)さんの梶原景時は出番は少ないものの貫禄を見せている。

前半は弥助との祝言で幸せの絶頂にあったものの、後半は弥助の本当の姿を知って身分違いの恋を嘆くお里を梅枝さんが熱演している。権太に向かって「びびびびびー」と言う台詞は結構インパクトがある。(現代の「あっかんべー」のような意味らしい)。

マガジンのあらすじでお芝居の流れはつかめるものの、もう少し詳しい解説があった方が歌舞伎に慣れていない人には親切だったかもしれない。

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