歌舞伎オンデマンドで「妹背山婦女庭訓 三笠山御殿」を観た。歌舞伎美人での上演時間は 1:56-3:16 1時間20分で、配信は1時間24分だった。なお、レンタル料金は3300円だった。
配役は、杉酒屋娘お三輪に中村時蔵さん、漁師鱶七実は金輪五郎今国に尾上松緑さん、入鹿妹橘姫に中村七之助さん、おむらの娘おひろに中村梅枝さん、官女桐の局に中村隼人さん、官女菊の局に中村種之助さん、官女芦の局に中村萬太郎さん、官女萩の局に中村歌昇さん、官女桂の局に中村獅童さん、官女柏の局に中村錦之助さん、官女桜の局に中村又五郎さん、官女梅の局に中村歌六さん、烏帽子折求女治実は藤原淡海に中村萬壽さん、豆腐買おむらに片岡仁左衛門さん。松緑さん、七之助さん、仁左衛門さん以外は全員小川姓の一族総出演。(あ、中村米吉さんがいない)。襲名披露狂言ということで、千住博氏原画の襲名祝幕が使われた。
今回の見どころの一つは、もちろん劇中口上。仁左衛門さん演じるおむらが今回初舞台となる梅枝さん演じるおひろの手を引いて登場し、時蔵さん演じるお三輪とのやり取りの途中で口上となった。(仁左衛門さんの女方姿って、めったに観られるものではない)。仁左衛門さんによって、時蔵から萬壽と名を改めたことの紹介(求女を演じた萬壽さんは既に引っ込んだ)、そして、時蔵の披露、梅枝の披露が行われた。ちらっとだけ映ったけれど、竹本葵太夫さんと鶴澤宏太郎さんも平伏していた。一芝居のあと、仁左衛門さんは七三で「これ、萬屋さん、しっかりとおきばりや」と声をかけて、梅枝さんの手を引いて花道を引っ込んだ。今回限定の楽しい演出だった。
劇中口上以上の見どころは、小川家一族が演じる官女たちによる、時蔵お三輪いじめ。小川官女ズ、迫力ありすぎて怖い。こんな官女たちにいじめられるお三輪は、普段の公演のお三輪以上にかわいそうに見える。(時蔵さんが上手いのもあるけれど)。お三輪が準備をしている間に、獅童さん演じる桂の局がお宿下がりのときに聞いたという馬子唄を披露するが、これが迫力あって良かった。(と、観客を楽しませる趣向)。お三輪に長袴を掴まれて小川官女ズが将棋倒しになったり、お三輪を小川官女ズ5人(若手4人+錦之助さん)が担いで回したりしたけれど、普段こういうことをしない役者さんたちによるものなので新鮮に見えた。(これらも、観客を楽しませる趣向。稽古大変だっただろうな)。小川官女ズは30分近くお三輪をなぶって引っ込んでいった。今後、よほどのことがない限り、こういった演出はないだろうな。
時蔵さんはお三輪を熱演していたけれど、小川官女ズのインパクトが強すぎた。
コメント