楽天TV で「四国こんぴら歌舞伎大芝居 第一部」を観た。歌舞伎美人での上演時間は、沼津 11:00-12:45 105分、幕間35分、 羽衣 1:20-1:40 20分、合計160分(2時間40分)、配信は開演前後に幕間を含めて182分だった。
配役は、沼津が雲助平作に中村鴈治郎さん、娘お米に中村壱太郎さん、荷物持安兵衛に市川染五郎さん、池添孫八に中村亀鶴さん、呉服屋十兵衛に松本幸四郎さん。羽衣が天女に中村雀右衛門さん、伯竜に市川染五郎さん。
4月20日に生配信したもののアーカイブ配信。ミレールの「歌舞伎オンデマンド」でも配信しているけれど、第一部と第二部のセット券を購入してエントリーすると500ポイント進呈というのに釣られてしまった。
これまでに金丸座そのものを見学し、「四国金毘羅かぶき大芝居」を現地で観たこともあるので、芝居小屋の雰囲気を思い出しながら楽しく鑑賞した。
「沼津」での客席降りは定番の演出。客席と花道・仮花道が殆ど区別つかない金丸座では、大いに盛り上がったことが映像からも伝わってくる。客席降りの間に居所変わりとなるが、一応舞台袖があるものの収納スペースに限りがある金丸座で、手際よく作業する大道具さんの仕事が素晴らしい。
幸四郎さんは「沼津」十兵衛が初役とのこと。2020年3月歌舞伎座で十兵衛を勤める予定だったのが、コロナ禍で公演中止となり無観客での映像収録となったので、観客の前では今回が初めてになる。花道に出てきた姿に、二世中村吉右衛門さんの面影が見えた。吉右衛門さんから十兵衛を教わったとのことなので、叔父甥の関係以上に吉右衛門さんの姿が見えたのだろう。
鴈治郎さんの平作は素朴ながらも愛嬌のある姿。鴈治郎さんと幸四郎さんの組み合わせは、「大當り伏見の富くじ」や「祇園恋づくし」のようなコメディの印象が強いけれど、シリアスな演目も息ぴったりで緊張感がある。
壱太郎さんのお米はちょっと控えめな感じか。(主役じゃないし)。
「羽衣」では、幕切れに天女の雀右衛門さんが自身初めての宙乗りを行った。金丸座では花道上の”かけすじ”と呼ばれる機構を用いるので、せいぜい2階の高さまでの宙乗りだけど、江戸時代には大いに受けたであろうことが想像できる演出だ。対する伯竜の染五郎さんは、せりで下がっていった。金丸座は回り舞台もせりも人力で動かしている。
金丸座の舞台と客席の近さや舞台機構を上手く生かした芝居で、大劇場とは趣の違う雰囲気を楽しんだ。
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