歌舞伎オンデマンドで「義経千本桜 川連法眼館(通称:四の切)」を観た。歌舞伎美人での上演時間は7:10-8:24 1時間14分で、配信の方は1時間15分だった。
配役は、佐藤忠信・佐藤忠信実は源九郎狐に市川猿之助さん、静御前に中村雀右衛門さん、駿河次郎に市川猿弥さん、亀井六郎に市川弘太郎さん、局千寿に市川寿猿さん、飛鳥に市川笑也さん、源義経に市川門之助さん、川連法眼に中村東蔵さん。
2016年6月歌舞伎座を最後に、猿之助さんは2017年10月の大怪我により「四の切」を演じてこなかったが、今回、完全復活を意味する「四の切」の上演となった。また、2020年3月以降のコロナ禍で初めて、歌舞伎座の花道上での宙乗り演出が行われたということもあり、重ねて意味のあるものとなった。
幕開きは、東蔵さんの川連法眼と笑也さんの飛鳥のやり取りから。義経は澤瀉屋の「四の切」ではおなじみの門之助さん。猿之助さんの本物の佐藤忠信は、堂々とした立派な武士の姿だった。そして、静御前が雀右衛門さん。配役を見たときは意外な組み合わせに思ったけれど、映像を見ると、門之助さんの義経とも、猿之助さんの忠信ともバランスが取れていて、また、静御前そのものがかわいらしく情があり、非常に適役に感じた。これまで10回近く猿之助さんの「四の切」を観ているけれど、猿之助さん襲名時の義経は坂田藤十郎さん、静御前は片岡秀太郎さんで、別次元の義経と静だった。襲名以降の上演では、義経は門之助さん、静は市川笑三郎さんで、澤瀉仲間内という雰囲気だった。
亀井六郎の弘太郎さんは、3月に市川青虎(せいこ)に名前を変えるので、市川弘太郎としては最後の役となった。
通常なら腰元たちが雪洞を手に偽忠信を捜索する場面は、笑也さんの飛鳥、市川寿猿さんの局千寿ほか澤瀉屋のお弟子さんたちが近習や腰元で出演する、猿之助さん復活お祝いヴァージョンになっていた。
狐の猿之助さんは、以前にも増して親狐への思慕が体全体からあふれ出る子狐の姿だった。怪我の影響を全く感じさせない狐の動きをみせ、猿之助さんの相変わらずの身体能力の高さ(そして、表には見せないであろう努力)に驚いた。
幕切れの宙乗り、通常は義経と静のみが狐を見送るのだが、今回は化かされ法師たちを取り押さえた近習や腰元たち(澤瀉屋のお弟子さんたち)もお見送り。皆で宙乗り復活、猿之助さん復活をお祝いしている感じが強く出ていて、これはこれで良い演出だと思った。
近いうちに関西の劇場で猿之助さんの「四の切」上演しないかな。
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