歌舞伎オンデマンドで坂東玉三郎さんによる「映像×舞踊特別公演 口上 楊貴妃」を観た。歌舞伎美人での上演時間は7:30-8:30 60分だったが、配信の方は57分だった。
緞帳が上がると、舞台一面に敷かれた金屏風の前に、玉三郎さんが平伏している。9月とは趣向を変えていた。「楊貴妃」は踊り納めていないので、ほとんど全曲、映像と一緒に踊るとのこと。
「楊貴妃」についての説明が終わると、9月と同様に玉三郎さんによる舞台機構案内となった。「二人椀久」の松山の振りで舞台から花道へ移動し、すっぽんから奈落に降りる。「将門」の滝夜叉姫の打掛を着てすっぽんから登場して姿を見せ、再びすっぽんで奈落へ降り、花道の下を通って鳥屋へ行き、阿古屋の打掛を着て揚幕から花道へ出るところは、9月とほぼ同じ。10月は再度すっぽんから奈落へ降り、廻り舞台やせりの説明をした後、エレベーターで上がって玉三郎さんの楽屋へ向かった。玉三郎さん直々に40年近く愛用の桑の鏡台、化粧品の器(桜と紅葉が描かれていて、春秋を表している)、龍の模様の水滴、楽屋に飾っている(歌川)豊国の版画(歌舞伎の浮世絵)を貼った屏風を説明して、舞台機構ツアーは終了。ここまで約32分。
そして、幕間を挟まずに「楊貴妃」となった。2017年(平成29年)12月歌舞伎座で上演された「楊貴妃」の映像との共演になる。この舞台はシネマ歌舞伎としても上演されたので、一度映画館で観ている。
緞帳が上がると、舞台のスクリーンに「楊貴妃」の映像が映し出され、箏の演奏が始まる。歌詞の字幕が出るので、唄がわかりやすい。方士の市川中車さんは、当然ながら映像での出演。方士が楊貴妃に出会うところで、映像から実際の舞台に変わる。ここからは歌詞が表示されなかったが、美しい玉三郎さんを観るのが目的だから、歌詞が無くても差し支えない。方士と楊貴妃とのやり取りの場面は、映像と実際の舞台のオーバーラップ。楊貴妃が二人いる状態になるものの、特に気にならなかった。
この「楊貴妃」も、コロナ禍が無かったら8月に南座で上演予定だった。いろいろ制約のある中で歌舞伎座で上演され、また、歌舞伎オンデマンドで視聴して、疑似体験できたのはありがたいことだ。
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