山田洋次監督によるシネマ歌舞伎「人情噺文七元結」は、平成19年(2007年)10月に新橋演舞場で行われた公演が収録されている。 本編87分。
左官長兵衛に中村勘三郎さん、女房お兼に中村扇雀さん、長兵衛娘お久に中村芝のぶさん、角海老女房お駒に七代目中村芝翫さん、和泉屋手代文七に中村勘太郎(現・勘九郎)さん、和泉屋清兵衛に坂東彌十郎さん、鳶頭伊兵衛に片岡亀蔵さんの配役。
別ブログで落語の「文七元結」の記事を書き、このブログでも「人情噺文七元結」を簡単にまとめた記事を書いたところなので、久しぶりにブルーレイディスクを引っ張り出して観た。
話の大筋は変わらないものの、落語にはない角海老娘分お光(中村鶴松さん)や鳶頭伊兵衛が登場したり、文七の働く店の名前が落語と歌舞伎では違っていたりと、細かいところに違いがある。落語が頭に入っていると、その違いを楽しめそうだ。
落語よりも上演時間が長いものの、皆さん熱演で、話の展開が分かりやすいため最初から最後まで楽しめる。しかし、勘三郎さん、先代芝翫さん、そして、80歳後半で女郎役を務めていた中村小山三さんと、既にお亡くなりになった方々の姿に、一抹の寂しさを覚えてしまう。
私が歌舞伎公演に頻回に足を運ぶようになったのが2010年からなので、中村勘三郎さんの舞台は数回しか観ていない。その少ない観劇のうち、2011年9月の大阪・上本町の新歌舞伎座で上演された「人情噺文七元結」を観ている。今にして思えば、行けるときに行っておいて良かったと思う。
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