歌舞伎オンデマンドで「封印切」の忠兵衛が中村鴈治郎さん版、中村扇雀さん版の両方を観た。歌舞伎美人での上演時間は、2:17-3:40 1時間23分、配信は鴈治郎さん版が1時間25分、扇雀さん版が1時間21分だった。レンタル料金は各々3300円だった。
配役は、亀屋忠兵衛に中村鴈治郎さん/中村扇雀さん、丹波屋八右衛門に中村扇雀さん/中村鴈治郎さん、傾城梅川に片岡孝太郎さん、肝入由兵衛に中村寿治郎さん、阿波の大尽に大谷桂三さん、槌屋治右衛門に中村東蔵さん、井筒屋おえんに中村魁春さん。
これまで「封印切」は坂田藤十郎さん、片岡仁左衛門さん、そして、当代の鴈治郎さんの忠兵衛で観ているけれど、扇雀さんの忠兵衛は観たことがなかった。
鴈治郎さん版と扇雀さん版と続けて観て、同じ成駒家でも演者によって違う点がいくつかあるのに改めて気づいた。
忠兵衛はお二人とも大きく変わらなかったけれど、八右衛門に突き飛ばされて封印が切れる際が少々異なっていた。鴈治郎さんは、封印が切れて小判が落ちる→茫然としているところに三味線の音が入る→封印が切れていることに気づいて「あっ」と声を上げる、という流れだったが、扇雀さんは、封印が切れて小判が落ちる→「はっ」と声を上げる→三味線の音が入って封印が切れているのを確認する、という流れだった。それにしても、扇雀さんの忠兵衛は藤十郎さんそっくりだ。
一方、八右衛門は花道の出から違っていた。鴈治郎さんはうきうきと出てきて七三あたりでくるっと一回転。(2月の松竹座でも一回転していた)。井筒屋座敷には火鉢が出ていて、仲居が座布団を乱暴に置く。扇雀さんは遊びなれた雰囲気で登場し、仲居が座布団と火鉢を座敷の隅から出してぞんざいに置く。こうも違うのかと驚いた。今後、「封印切」を観るときに注意しよう。
梅川の孝太郎さん、治右衛門の東蔵さんは、安定した演技。おえんの魁春さんは初役とのこと。今までは片岡秀太郎さんが演じることが多かったから、江戸の役者さんにはあまり縁のない役だったのだろう。
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