歌舞伎オンデマンドで「寺子屋」を観た。歌舞伎美人での上演時間は 12:15-1:40 1時間25分で、配信は1時間24分(偶数日)と1時間25分(奇数日)だった。
配役は、松王丸に松本幸四郎さん(偶数日)/尾上松緑さん(奇数日)、武部源蔵に尾上松緑さん(偶数日)/松本幸四郎さん(奇数日)、戸浪に中村児太郎さん、菅秀才に中村種太郎さん、小太郎に中村秀乃介さん、春藤玄蕃に中村種之助さん、百姓吾作に坂東彌十郎さん、涎くり与太郎に中村又五郎さん、園生の前に中村東蔵さん、千代に中村魁春さん。
二世中村吉右衛門さんが得意としていた松王丸と源蔵を、吉右衛門さんの血縁者である幸四郎さんと松緑さんが日替わりダブルキャストで演じるのが、この演目での見どころ。また、「寺子屋」には出演していないけれど、播磨屋の中村歌昇さんの長男と次男が、それぞれ種太郎と秀乃介を名のって初舞台を踏む。そして、種太郎さんと秀乃介さんの祖父の又五郎さんが涎くりで共演するのも見どころとなった。
音羽屋の松緑さんは、本来なら松王丸は銀鼠の衣装なのだが、今回は吉右衛門さん追善興行のため、成田屋型の黒繻子の衣装だった。
先に幸四郎さんの松王丸と松緑さんの源蔵、続いて松緑さんの松王丸と幸四郎さんの源蔵を視聴した。個人的には松緑さんが松王丸、幸四郎さんが源蔵の方が、役者さんの個性に合っていたように感じた。松緑さんの源蔵だと、眼力というか、迫力というか、圧というか、強い雰囲気が幸四郎さんの松王丸を上回っているように見えて、バランスが悪いように見えた。
この公演が初舞台となった5代目中村種太郎さんは6歳、初代中村秀乃介さんは3歳ということで、芝居の菅秀才や小太郎の年よりは少々幼いけれど、一生懸命お役を勤めていたのが微笑ましかった。
この公演のもう一つの見どころは、もちろん又五郎さんの涎くり。又五郎さんのインタビュー記事によると、今回が4回目で、初回が21歳のときとのこと。現在66歳の又五郎さんが、15歳の涎くりを演じて芝居になるのが歌舞伎の凄いところ。
https://lp.p.pia.jp/article/series/220561/243966/index.html?detail=true
涎くりの父親・百姓吾作は、今年の NHK 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で大ブレイクした坂東彌十郎さん。涎くりと吾作の最後の引っ込みはどうするのかと思っていたら、吾作を飛び越えた涎くりが吾作の手を引いて引っ込んだ。(通常は涎くりが吾作を背負って引っ込む)。
何度も上演されている演目を、役者の違いで楽しむ。これも、歌舞伎の楽しみ方だと再認識した。
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