歌舞伎オンデマンドで「ふるあめりかに袖はぬらさじ」を観た。歌舞伎美人での上演時間は 6:00-7:10、7:30:9:05 合計2時間45分で、配信の方は2時間44分だった。
配役は、芸者お園に坂東玉三郎さん、通辞藤吉に中村福之助さん、遊女亀遊に河合雪之丞さん、旦那駿河屋に片岡松之助さん、遣り手お咲に中村歌女之丞さん、浪人客佐藤に中村吉之丞さん、唐人口マリアに伊藤みどりさん、思誠塾小山に田口守さん、思誠塾に喜多村緑郎さん、岩亀楼主人に中村鴈治郎さん。
もともとは玉三郎さんと片岡仁左衛門さんとによる「与話情浮名横櫛」だったのだが、仁左衛門さんが頭部の帯状疱疹でかつらをかけることができないため休演となり、「ふるあめりかに袖はぬらさじ」に演目・出演者変更となった。雪之丞さん・緑郎さんはじめ新派からの出演者も多く、伊藤みどりさんほか女優さんたちも「六月大歌舞伎」と銘打った歌舞伎座の舞台に立った。
この演目は以前、NHKで放送されたものを観た記憶があるけれど、当然ながら細かいところは忘れている。
配信で3時間弱の長丁場の作品だが、物語に引き込まれて見入ってしまう。ほぼ出ずっぱりのお園演じる玉三郎さんの、流れるような台詞や表情が楽しい。お園を見る限りは喜劇のようにも見える。
徳川の世から明治に移ろうとする激動の時代、亀遊の自害を誇張して世間に広めた瓦版をきっかけに、岩亀楼という特殊な空間で、客を喜ばすため、商売のために事実と虚構が混じった話が大きくなっていく。何が真実で、何が作り物か。情報に振り回されている現代も変わらないと思いながら、玉三郎さんの熱演を観た。
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