歌舞伎オンデマンドで「上州土産百両首」を観た。歌舞伎美人での上演時間は 11:00-12:35 1時間35分で、配信の方は1時間33分だった。
配役は、正太郎に中村獅童さん、牙次郎に尾上菊之助さん、宇兵衛娘おそでに中村米吉さん、みぐるみ三次に中村隼人さん、亭主宇兵衛に松本錦吾さん、勘次女房おせきに市村萬次郎さん、金的の与一に中村錦之助さん、隼の勘次に中村歌六さん。
「上州土産百両首」は、アメリカの作家 O. Henry の短編小説「20年後」を下敷きに、劇作家の川村花菱さんが書いたもので、昭和8年(1933年)に6代目尾上菊五郎さんと初代中村吉右衛門さんで初演された。歌舞伎データベースで上演記録を調べてみると今回を含めて6件ヒット。正太郎と牙次郎の配役は、1973年6月歌舞伎座で萬屋錦之助さんと中村賀津雄さん、1974年4月大阪・新歌舞伎座で片岡孝夫(現・仁左衛門)さんと2代目澤村宗之助さん、1994年12月歌舞伎座で3代目市川猿之助(2代目猿翁)さんと5代目中村勘九郎(18代目勘三郎)さん、2014年1月浅草公会堂で4代目市川猿之助さんと坂東巳之助さん、2019年7月松竹座で中村芝翫さんと尾上菊之助さん。音羽屋にも萬屋にも縁のある演目だった。
私は2019年7月松竹座の舞台を観ているけれど、菊之助さんの牙次郎がはまり役だったことに驚いた記憶が残っている。その時の芝翫さんの正太郎も牙次郎を気遣う兄貴だったけれど、今回の獅童さんの方が、一層牙次郎を思う気持ちが出ていたように感じた。
獅童さんと菊之助さんのやり取りを観て、「あらしのよるに」のがぶとめいに近いものがあると、ふと思った。「上州土産百両首」も「あらしのよるに」も相手を思う根本的なところは同じ。(結末は真逆だが)。12月に歌舞伎座で獅童さんと菊之助さんによる「あらしのよるに」が予定されている。配信を楽しみにしていよう。
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